2024年11月22日(金)

プーチンのロシア

2024年3月18日

 東部ブラゴベチェンスクでは「正午の反プーチン」を動画上で呼びかけた少女が5日間拘束されたという。同様に西部レニングラード州でもSNSで呼びかけた女性が一時拘束された。この女性は「軍の信頼を傷つける」ことが拘束理由と示されたという。

 実際には17日正午に多くの列ができた。反プーチンの支持者が可視化された。

 今回の選挙で出馬を断念させられた反戦派のボリス・ネデジュディン氏の支持者が、この陣営のバッジをつけて出口調査に参加したことを口実に第2の都市サンクトペテルブルクで拘束されたとの情報もある。

プーチン政権も政変を恐れている

 プーチン政権がこうした圧力をかける理由は、過去の歴史的政変やこれまでの反プーチン運動の教訓があるからだ。

 1917年のロシア革命や91年のソ連邦崩壊は人々の生活上の不満が政権打倒へと向かい、雪崩を打つようにして全土的なうねりとなり起こった。

 今もこうした政変が起こりかねないリスクがあることは間違いないだろう。

 2022年に始まったウクライナ侵略では、強権的な姿勢を強めており、「反戦」を訴えただけでも投獄されるリスクがある。プーチン政権としてはなんとしてでも、戦争を勝利に導き、政権維持を図りたい。そのため、反プーチン派をそれぞれ孤立させて、小さな芽のうちに摘む弾圧を実践している。

 そもそも、選挙では有権者への強制をしなくても、現下の国内情勢では、プーチン氏が当選することは確実だろう。こうして、必要以上に投票率やプーチン氏への得票率を高めようとする姿勢そのものが、一歩間違えば政変が起こりうるリスクが高いと政権が判断している表れではないだろうか。

 ゴロスが明らかにした今回の選挙「不正」の実態は、その説を裏打ちしているようにも思える。

 有権者の声を擁護しようとするゴロスの姿勢を、プーチン政権は嫌い、米国から資金援助を受けていたことを口実に、12年、「外国のスパイ」(Иностранный агент)を意味する「外国の代理人」に指定。組織に罰金刑を加えたり、メンバーを拘束するなどしてきた。

 こうした姿勢に、ゴロスは1988年に欧州議会が創設した「思想と自由のためのサハロフ賞」を授与されている。英紙テレグラフはゴロスについて「(クレムリンの)詐欺と脅迫の試みを明らかにして、目録を作ることができる数少ない組織のうちの1つ」としている。

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