2024年12月22日(日)

プーチンのロシア

2024年3月18日

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の5選が決まった。中央選挙管理委員会の集計からみると、最終的な得票率は85%以上に達する可能性がある。しかし、今回、初めて3日間の投票期間が設けられたロシア大統領選挙は、民主主義国家で行われているような公平・公正な選挙ではない。ウクライナ侵略を始めたウラジーミル・プーチン大統領を、あたかも民主的に選ばれたかのように装い、国家ぐるみで5選を強行させるロシアの「儀式」だろう。

ロシア大統領選挙の投票所には、SNSへの投稿を促すような設置もなされている(AP/アフロ)

 反戦派の候補の出馬は許されず、プーチン氏以外の候補者は「体制内野党」と政党候補者ばかり。プーチン氏の圧勝が約束されているのに、政権はあの手この手で有権者にプーチン氏への投票を強制する。いったい何故なのか。

プーチンに投票すればくじに当たりやすい

 今回の選挙でも、日本や欧米諸国のような民主主義国家では信じられないような「選挙」の実態が明らかになった。

 プーチン体制下にも、公明正大な選挙が行われるよう投票所などの動きをチェックしている独立系の選挙監視団体がある。

 2000年に設立されたNGO「ゴロス」(ГОЛОС、ロシア語で「声」を意味する)。これまであらゆる国政選挙の監視活動を行い、不正が横行するプーチン体制の選挙の実態を告発してきた。

 ゴロスの共同代表のスタニスラフ・アンドレイチュク氏は今回の大統領選投票が始まる前に声明を出し、「33年前のソ連邦崩壊以来のロシアの歴史の中で最も透明性の低い」選挙と糾弾した。

 ゴロスは特設サイトにホットラインを設けて、有権者に今回の選挙の「違反」を告発するよう呼び掛けている。寄せられた情報には、プーチン氏を高得票率で当選させようとする政権の各国営企業などへの圧力や、民主的選挙とはいえない、とんでもないような投票強制の実態が明らかになっている。

 テレグラムのSOTAは南部ヴォロネジ州の航空製造会社が従業員に対して、投票すれば「手当」を出すことを確約する呼びかけを行ったと伝えた。内部文書によれば、投票日の平日は正午に帰宅できるとし、投票した従業員に対しては、空軍博物館への旅行があたる抽選会へのくじを付与するという。ただし、そのくじは「投票所にある投票用紙をスマホで撮影した写真」に基づいて、発行されるのだという。

 当選のからくりは詳しく明らかにされていないが、投票用紙にプーチン氏を投票すれば、くじが当たりやすくなることをにおわせているようだ。


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