2024年4月16日(火)

勝負の分かれ目

2024年4月2日

 06年大会では、イチロー選手(マリナーズ)が韓国に対して「向こう30年は日本に手は出せないな、という感じで勝ちたいと思う」と発したことが波紋を広げた。1次リーグに続いて、2次リーグでも日本に勝利した韓国の選手がマウンドに国旗を立てて歓喜した。最後は、日本が準決勝で勝利して初代王者へと駆け上がったが、韓国の日本に対するライバル意識は相当に高かった。

 北京五輪は、韓国が1次リーグ、準決勝とも日本に勝利。日本はメダルを逃したのに対し、韓国は金メダルを獲得した。

 第2回WBCは、日韓による熾烈な戦いが繰り広げられた。日本が戦った9試合のうち、5試合が韓国戦。第2ラウンドまでは2勝2敗。5度目の対戦となった決勝では、日本が延長10回にイチロー選手の決勝打で2連覇をたぐり寄せた。

日本とは異なる強化システム

 筆者は09年当時、産経新聞で「日本の野球力」という連載を担っていた。連載の趣旨は、日本の野球の現状を掘り起こす内容だったが、比較の対象として韓国は不可欠な存在だった。そこで、韓国球界の事情について詳しいライターに取材をすると、日本とは異なる強化、育成システムが取られていたことがわかった。

 日本は少年野球から中学、高校、大学、社会人、プロとピラミッドが形成されているが、高校年代でいえば、クラブ活動の一環として減少傾向にあるとはいえ、幅広い層がプレーできる環境がある。これに対し、韓国の高校でプレーできるには、一部の「野球エリート」に限られる。現在でも、日本国内では、日本高校野球連盟に登録している部員数は23年度5月末現在で約12万8000人いるが、韓国の高校生で野球をしているのは40分の1程度だとされる。

 彼らの目的は、将来的にプロを目指すことはもちろん、大学進学、兵役免除などの手段とされる。特に、兵役免除の魅力は大きく、五輪はメダル獲得、アジア大会は金メダルが条件で、08年北京五輪や優勝した23年10月のアジア大会も対象大会となった。

 アジア大会では24選手のうち、19選手が免除となった。ところが、WBCは第1回大会は4強で対象となったのに対し、23年春の第5回WBCはその対象となっておらず、代替的にフリーエージェント(FA)期間の短縮という利点を設けられていたが、韓国代表のモチベーションが上がってこないとの報道もあった。

トップ選手が日本や米国へ行く理由

 韓国プロ野球の年俸はメジャーはもちろん、日本球界よりもかなり低く抑えられている。報道によれば、KBOが23年3月に発表した平均年俸は、1億4648万ウォン(約1450万円、新人と外国人選手を除く)だったという。

 このため、トップ選手は日米への移籍を目論む傾向にあり、1990年代には、中日で活躍した宣銅烈(ソン・ドンヨル)や李鍾範(イ・ジョンボム)、李尚勲(イ・サンフン=サムソン・リー)の3投手がおり、2000年代では、大型野手の李承燁選手(イ・スンヨプ)が04年から8シーズン、ロッテと巨人、オリックスでプレー、李大浩選手(イ・デホ)も12年から4シーズン、オリックスとソフトバンクで活躍。投手では、林昌勇(イム・チャンヨン、ヤクルト)、呉昇桓(オ・スンファン、阪神)両クローザー投手らがいる。


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