メジャーでは94年にドジャースと契約した朴賛浩投手(パク・チャンホ)が代表格だが、その後は韓国プロ野球を経ず、高校卒業後や大学を中退するなどして、メジャーに挑戦する選手が増えた。近年は金河成選手もそうだが、韓国のプロ野球を経て、日本と同様にポスティングシステムでメジャーへ移籍するケースが多い。韓国では、有望なアマチュア選手の海外流出を防ぐため、韓国プロ野球のドラフト指名を拒否してメジャーに挑戦した場合、帰国後も2年は韓国プロ野球でプレーできない規定もある。
日本も同じ轍を踏む可能性
韓国の野球スタイルは、日本の野球は緻密なプレーが全体的な印象を覆うのに対し、パワー重視でメジャーの野球に近いとされてきた。
しかし、最近は日本の投手は、メジャーで活躍する大谷翔平選手やロッテの佐々木朗希投手が160キロ超の剛速球を投げ、150キロを超える投手は多数いるのに対し、韓国球界の投手の球速に進化が見られないとの指摘がある。
日本のベースボール専門メディア「フルカウント」は韓国メディア「SPOTV NEWS」の記事の引用として、「韓国はこの10年間、球速で大きな変化がない。日本の球速が上昇している」との指摘を紹介している。つまり、日本の投手の球速に対応できないことを、韓国が日本に勝てなくなってきた要因として挙げている。
気になる点は、韓国の投手力の低下は、打者のスタイルの変貌に関係するとの指摘がいくつかのメディアで掲載されていることだ。
どういうことか。韓国の高校野球は04年までは金属バットの使用が認められていたが、国際大会の規定が木製バット使用となったことで、05年からは、金属バットの使用を禁止された。また、反発力の低いボールが使われたことで、本塁打も激減した。
打者の傾向もコンパクトに振るスイングが意識され、投手もパワーよりも制球力を高めたスタイルを重視するようになる。極論を言えば、打者をねじ伏せるようなボールがなくても、抑えることも可能になりやすくなったといえる。国際大会への対応という舵取りが、韓国野球の魅力を減らしたことになる。
日本の高校野球も、開催中の選抜高校野球大会(春の甲子園)からは、投手の負担軽減のため、低反発で打球速度が遅くなるいわゆる“飛ばない金属バット”へ完全移行した。従来の金属バットとの比較による違和感から、木製バットに変えて臨む選手もいる。
高校野球の指導現場からも「飛距離が明らかに落ちた」「芯を外したら飛ばない」などの声が聞かれる。バットの性能によって、投手に負担が生じる現状からの脱却はもちろん必要だが、一方で、韓国が陥った打者レベルの低下によって、投手の力も落ちたという指摘は、日本球界も注視する必要があるのではないだろうか。