仕事を終えて家に帰ると、書き置きでお願いしていたことがきちんと終えられていて、しかも、「これこれを買ってこうしておいてください」という内容だったのだが、「これはなかったので買えませんでした。残ったお金はこれこれです」と返事まで書いてあった。それ以来、顔を合わせられない時の伝言も気兼ねなく残していけるようになった。
町中での歩き売りは、暑くて2日で断念
読み書きもできるし、仕事も丁寧だし、経済的にもっと安定した仕事に就けるだろうに、やはり人口に対して職が少ないのだろうか、と思いながらも、あまり踏み込んだ会話をする機会がなく過ぎていたが、今回改めて気になり、昼休みに帰宅した際、まだ家にいた彼女に尋ねた。
「どこで勉強したの」
「小学校で勉強しました。でもお金がなかったから中学校には行けなかった。読み書きはできるけど、事務職で働くには学歴が必要だから。7人兄弟のうち、1番上の姉は、今、夜間学校に通っていて卒業資格を取るために勉強しています。他の兄弟や私より賢いから、姉が勉強を続けているんです」と言って彼女は少し恥ずかしそうに笑った。
もっと収入を得たいと思って、市場で洋服を買って、町の中で歩き売りをすることも試したみたいだが(ワガドゥグでは、服・鞄・サングラスなどなど、大量に抱えた売り子が、町を歩いている。しかし、結局市場で買ったものを売り歩いているだけなので、売り上げがあるとは思えない)、昼間は暑いブルキナファソ、「暑すぎて2日でやめてしまいました」と今度はあははと笑った。
「『学ぶ』ってこういうことだったか」
夜間学校はワガドゥグ市内にいくつもあり、私設のものから、政府が運営しているものまで様々だが、実際の運営はNGOなどに委託しているケースが多く、政府自身も正確な状況を把握していないと言われている。以前訪れた夜間学校では、学年に応じた複数のクラスで授業が行われていたが、各クラスとも年齢層は幅広く、20代、30代といった大人たちも多く学んでいる。教育分野を直接担当している訳ではないので、普段、小学校などを訪問して授業の様子を見る機会がないのが残念だが、縁あって、この夜間学校に行った時、何より驚いたのは、「学ぶ」ってこういうことだったか、とじわじわと胸が熱くなる感覚を覚えたことだった。