2024年4月27日(土)

ブルキナファソ見聞録

2013年11月15日

フランス語の授業で声に出しながら文章を読む生徒

 ここまで書くと、ブルキナファソの教育事情はまだまだだと感じられるかもしれないが、今は将来を見据えた長い道のりの途中ということも言える。成人識字者が多くないことで現在の労働力や経済力に影響を与えている点は否めないが、すでに成人となった人々をサポートするには多大なコストがかかるため、国としては、初等教育に注力し、20~30年後の成人識字率を伸ばすことを優先している。2008年には 初等教育が無償化されるなど、教育へのアクセスを改善し、ゆくゆくは前期中等教育も無償化したうえで2020年には完全就学という目標も持っている。1989年から改訂されてこなかった教育カリキュラムも、実情に沿った内容となるよう改訂作業が進められている(授業時間と内容が合っておらず、1年で終わらないカリキュラムとなっているらしい)。

 貧しい中でも、子供に良い教育を受けさせたいと願う親の気持ちはブルキナファソでも同じであり、今の子供たちの教育環境を変えていくことはブルキナファソ全体の大きなテーマになっているのだ。

成人識字率27% 大人たちの教育事情

 翻って大人たちの事情はどうか。教育改善というと、子供たちの環境改善が第一に思い浮かび、確かに優先度も高いため、政府と協同して国際協力を行う私たちのような機関も初等・中等教育を対象にしていることが多い。普段の仕事相手は、識字者であるためあまり実感が湧かないのだが、数年前の調査では成人識字率が27%だったという。

 ここでの暮らしの中で、仕事以外で日常的に付き合いのあるブルキナファソ人として家政婦がいる。主に女性の職業として一般的で、貴重な収入機会となっており、私達のような外国人だけでなく、共働きのブルキナファソ人夫婦の家庭などでも家政婦を雇っていたりする。

 我が家に手伝いに来てくれる27歳の家政婦は、フランス語での会話が可能だったのでとても助かっていたが、彼女たちの中には、読み書きのできない人が多いと聞いていた。私は一人暮らしなので、ある日の出勤前に、まだ彼女は来ていないけれど、伝えたいことがある、どうしよう、と思い、試しに書き置きを残してみた。会話に問題はないけれど、字が読めるか確認していなかった。大丈夫だろうか。


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