2024年6月17日(月)

Wedge REPORT

2024年4月8日

 一方、技術の流出という問題があります。技術の流出は企業側から見ると大きなデメリットですが、労働者側からすると自分の能力を高く買ってくれることなので、メリットです。低賃金が続けば、人材が流出するだけでなく、外国人人材の獲得が難しくなるという問題も存在します。

TSMCの熊本進出が与えるもの

一人負けニッポンの勝機 世界インフレと日本の未来』(ウェッジ)では、日本の賃金が上がらない要因を分析している

 半導体受注メーカーの世界最大手TSMCが熊本に進出したことを例に挙げてみましょう。出荷開始は24年末の予定ですが、すでにその周辺では半導体や物流関連企業などが続々と設立されており、TSMCが進出した菊陽町の工場地価は全国一の32%上昇しており、地域経済に大きなインパクトを与えています。

 TSMCは23年度の大卒初任給を28万円に設定しており、これは県内の相場よりも4割ほど高い水準となっています。その好条件に引き寄せられ、他企業から従業員の流出が続出しています。

 人材を確保するためには賃金を引き上げる必要があるものの、それに耐えられず淘汰される企業も出てきます。外資企業の進出がもたらす賃上げのプレッシャーは、労働者の待遇改善や経済の新陳代謝の向上につながる可能性があります。

   
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