2024年12月15日(日)

Wedge REPORT

2024年4月8日

  春は新生活の始まりも意味するが、それを「海外で」というビジネスパーソンも増えてきている。新たな門出を迎える国も、欧米といった先進国ではなく、アジア各国へと広がりつつあるようだ。
 日本のビジネスパーソンがアジア各国へと活躍の場を求める理由は「賃金が高いから」と安いニッポンを物語る。アジアの企業にとっては、高品質で安い労働力が手に入ると考えているという。著書『一人負けニッポンの勝機』(ウェッジ)の一部を紹介する。 

賃金水準が逆転した日本とアジア

 世界中で日本の労働力が大きな関心を集めています。アジア各国で労働コストが上昇する中、高品質ながらも安い日本の労働力が、世界中から注目されているのです。

 図は、2010年と22年のアジア諸国の日系企業の基本給(月額)を比較したものです。この図から、アジア各国で賃金水準が上昇していることがわかります。

 製造業の作業員の基本給は、10年にはベトナムで107ドル、カンボジアで101ドル、バングラデシュで54ドルだったものが、22年にはそれぞれ277ドル、246ドル、127ドルへと、おおよそ2.4倍から2.6倍に増加しています。中国の賃金はこの間に倍増しています。フィリピンの賃金上昇率は約17%と、他の国に比べると低いものの、その数字は日本を遥かにしのぎます。


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