2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月19日

 イランのアミール・アブドラヒアン外相は、イスラエルは「国際約束と条約に違反する」イラン領事部への攻撃に責任を負うと述べた。

 イスラエルはテヘランとその代理人の多くの施設をこれまでシリア全土で攻撃してきた。イスラエルはシリアでのイランの軍とヒズボラ戦闘員の存在がイスラエルに対する新しい戦線を作り出すと、長い間心配してきた。10月以来、イランとイスラエルの緊張は高まり、イランの施設へのイスラエルの攻撃につながった。

 イランはイスラエルと米国に攻撃を仕掛けている武装グループを支援しつつも、繰り返し米との直接紛争と全面的地域戦争は避けたいと言ってきた。国際戦略問題研究所(IISS)のホカイエムは「イスラエルはイランは効果的に抑止されていると信じており、イランとヒズボラを弱体化するために戦争のリスクも冒す。この計算はそうでなくなるまで続くが、そうでなくなる時は破局になる」と言う。

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レッドラインを越えたイスラエル

 今回の件でイスラエルはレッドラインを越えたように思われる。シリアにいるイランの代理勢力をイスラエルが攻撃するのはこれまでもあったことであるが、ダマスカスのイラン大使館を直接空爆するのは初めてである。

 これはイラン本土を攻撃することと同じではないが、それに限りなく近いといえる。中東紛争での相場観を逸脱したのではないか。

 ハメネイ・イラン最高指導者はイスラエルに「邪悪な政権は罰せられるだろう。罪を犯したことを後悔させる」と発言したが、イランが今度の件で何の反応もしないことは考え難い。この記事の中でチャタムハウスの中東専門家が「これはイランに何らかの反応をするように強いる」可能性に触れているが、その通りであろう。


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