厳しい現実を踏まえ、大国はイラン外交で最大の成果を求める時である。イランの中途半端な措置の時期は過ぎた。テヘランはすべての不法な核活動を明らかにし、逆戻りできない譲歩をするように強制されるべきである。それ以下では機会を失ったことになる、と述べています。
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このタキーの論説は、情勢判断の部分と提言の部分からなっています。
情勢判断の部分では、ロウハニやザリフより国家安全保障評議会の力が強いこと、その評議会が核開発を諦めないタカ派で占められていることから、イランは核開発の重要要素を変更する気はないのではないかとの判断を示しています。
他方で、政策提言としては、西側の立場は強いから、イランに大規模な譲歩を迫るべきであり、中途半端な措置で手を打つのは機会を逃すことになる、と論じています。
情勢判断の部分と政策提言の部分がどう結びついているのか、この論説からでは必ずしも明確ではありませんが、核問題の難しさを承知しつつ、大きな取引で成果を挙げることを目指せば交渉の成果がありうる、とタキーは考えているのでしょう。
ロウハニの大統領選出後、9月初めに、核交渉は国家安全保障評議会から外務省に移管されることが発表されました。このタキーの論説には、それについての言及がありません。確かに、一般的にはイラン外務省と国家安全保障評議会の力関係は後者が圧倒的に強いですが、こういう移管の裏には、核の問題の取り扱いについて最高指導部内で議論があったと考えるのが自然です。
10月15-16日のP5+1とイランの交渉では、イランが新しい提案をし、その内容は秘密とされていますが、イラン提案は遠心分離機の数の削減を含むのではないかとの報道もありました。そして、11月の会合開催に繋がっています。いずれにせよ、協議が継続されることは歓迎されます。
仮に交渉が失敗した場合の、その先の見通しとしては、制裁に関しては、時間は西側に有利に働くので、交渉再開、再交渉のメリットがありますが、しかし、核兵器開発については、時間はイラン側に有利であり、米国、イスラエルなどが決断を迫られることになるでしょう。
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