1位中国は変わりないが、単語数は153と前年比で大幅に増加した。メッセージには、習近平氏との2度の首脳会談で関係強化を促進したことが盛り込まれ、両国の貿易売り上げ高が2000億ドルを超えたことが強調された。
やはり、CIS諸国が上位を占めるが、4位ウズベキスタンは単語数95で順位も前年11位(70語)から大幅にアップした。17位のハンガリーは単語数で16語アップ。同国のオルバン首相は10月中旬に北京で行われた一帯一路フォーラムに駆けつけ、プーチン氏とも直接会談を行った。ウクライナへの支援疲れが浮かびあがる中でのEU諸国の一角との首脳会談は、ロシアで大々的に報じられた。
10位のブラジルは、反米色の強い左派のルラ氏が大統領に返り咲き、前年よりも大幅にランクアップした。ルラ氏はかつて、BRICS首脳会合などでもプーチン氏と連携強化を図ってきた人物。右派ボルソナロ政権だった前年には40語しかなかったが、31語増加の71語となり、24年に主要20カ国・地域(G20)の議長国を務めるブラジルへの調整力に期待をにじませた。
一方、アルメニアは22年の77語から23年は41語と大幅に順位を下げた。同国のパシニャン首相は、係争地ナゴルノカラバフ問題をめぐる、隣国アゼルバイジャンとの戦闘敗北について、ロシアが同盟国としての義務を果たさなかったと非難しており、ロシア・アルメニア関係が悪化していることが反映された。
貿易を意識した関係強化
2つ目のデータは、侵攻後、プーチン大統領がどの国のリーダーと首脳会談を重ねているかの状況だ。
昨年2月に発表した記事「プーチンはどの国の首脳と会談しているか調査してみた」で、侵攻後1年で、プーチン氏は、主要7カ国(G7)とは距離を置く、アフリカやアジアなどの「グローバルサウス」の国々に狙いを定め、積極外交をしている構図が浮かびあがってきたことを指摘した。
2年目もその構図は変わらない。
23年は63回の直接会談と84回の電話会談、13回の国際会議・サミットを通じて、各国リーダーと交渉を重ねたが、上位はCIS諸国やBRICS諸国、トルコ、イランが入った。
22年の状況と違うのは、プーチン氏はアジア・アフリカ・中近東諸国のリーダーと積極的に会って、貿易面などの関係強化を話しあっていることだ。
7月27日にサンクトペテルブルクで開催されたロシア・アフリカサミットの期間中には、南アフリカ、コンゴ、エジプト、エチオピアなど17諸国と直接会談を行った。
さらに10月13日にはCIS首脳会議が開催されたビシュケク(キルギス)へ、10月17日には一帯一路フォーラムが行われた北京へと外遊も果たした。北京では、タイ、ラオス、モンゴルなどのアジアのリーダーとも直接会談を行っている。
プーチン氏は中国やインドを交渉相手にする際、格下の外相や国防相とも直接面会を果たし、役職として相手と釣り合わない会談を実施するパフォーマンスを示している。
大量のエネルギーを購入してくれる中国とインドだけは特別視していることが、この点からもうかがえる。