4月17日に行われたソロモン諸島の総選挙では、親中のソガバレ首相率いる与党が過半数を割った。連立交渉の結果、ソガバレは続投せずマネレ外相が新首相に選出された。
この選挙につき、ローウィー研のソラ研究員が5月日付の論説‘Can Solomon Islands’ new prime minister really be friends to all?’で、マネレ新首相は全方位外交ができるか、同政権の成功は対外関係と同様に経済など内政課題の対処に掛かっていると述べている。主要点は、次の通り。
4月の議会選挙は平和裡に行われたが、国民はソガバレによる5年にわたる分断的なアイデンティティ政治の継続は呑みがたいと審判した。穏やかな振る舞いのマネレは、首相退任を決めたソガバレの忠実な副官から、その後継者になった。
前政権の与党(OUR)は、議席の半分以上を失う大敗を喫した。新政権の対中、米、豪関係がどうなるかが注目される中、マネレの最初の仕事は、組閣とその後に経済計画を打ち出すことだ。興奮から覚めた今、ソロモンの人々は厳しい失業の中で如何に生計を立てるか、途方に暮れている。
ワレ等の野党指導者は地政学的緊張を政治利用しようとしたが、有権者はそれ程にはソガバレの対中接近を拒否した訳ではない。有権者は、無能な政府と無能な議員を拒否した。
これは中国にとり何を意味するか。ソガバレは、中国の太平洋進出の中心人物だった。
中国は長年島嶼国の扉をノックしていたが、その扉を開けたのはソガバレだ。ソガバレは、外交承認を台湾から中国に切り替えた後数年の内に、同国の安全保障、港湾、通信など戦略的インフラへの中国の関与を急速に拡大。地元メディアも、中国の公式言説で溢れるようになった。
ソガバレの「戦狼外交」は国内外の緊張を高めた。マネレは中国の支援には前向きと思われるので、それは中国の得になる。中国の問題活動は、見えなくなるかもしれない。