2024年11月22日(金)

脱炭素・脱ロシア時代のエネルギー基礎知識

2024年5月27日

 もっとも資金が使われたのは業務用(10kW以上)の太陽光発電設備からの電気です。18兆3800億円が、累積4935億kWhの発電量の買取に使用されました。

 平均1kWh当たり37円という金額が支払われていますが、FIT導入初期に設定されていた高い買取価格での導入量が多いためです。

 22年度の太陽光設備の発電量は、926億kWh。総発電量に占める比率は9.2%です(図-5)。費用に見合う効果があったでしょうか。

 買取価格については、大規模な設備では入札制度が導入されるなど、引き下げが工夫されていますが、業務用太陽光から発電される電気の買取期間は20年間あります。消費者の負担が減少することは、当面ありません。

これから電気料金はどうなる

 電気・ガス料金を対象にした激変緩和措置も終わります。燃料価格は落ち着いていますが、エネルギー危機前との比較では依然高くなっています(図-6)。

 発熱量当たりの単価では最も競争力がある石炭に対する風当たりが強くなり、4月の主要7カ国(G7)のエネルギー・環境相会合ではCO2排出削減対策が取られていない石炭火力発電所の30年代前半での廃止が合意されました。

 日本の石炭火力発電の利用年数は欧米諸国よりも短いので(脱石炭に向けた途上国の本音、アメリカの本音 )、すぐに廃止されることはないでしょうが、価格競争力のある石炭火力が減少し、再エネ設備で置き換わることになれば、電気料金は上昇します。

 脱炭素に向かう中で競争力のある電気料金を確保する手段として原子力発電の活用は待ったなしのように思えます。

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