2024年12月2日(月)

World Energy Watch

2023年4月12日

 この冬、電気料金の高騰にSNSでは悲鳴が上がっていた。暖房をエアコンで行う家庭も増えているが、そうなると電気料金の負担額も大きくならざるを得ない。

 SNSを見ていると、中には料金の計算が間違っていると思って電力会社に問い合わせた方もいたようだ。

(Yusuke Ide/gettyimages)

 電気料金には2通りあり、約半数の家庭は規制料金を利用している。2016年の家庭用電気料金自由化以降、変更の手続きをしていない家庭の料金は規制料金のままだ。

 その規制料金の値上げを巡る報道が昨年から多く見られるようになった。北海道から沖縄まで、中部電力、関西電力、九州電力を除く大手7電力会社が値上げの申請を行ったからだ。

 岸田文雄首相が厳正な審査が必要と発言し、4月1日の値上げを申請していた東北電力など5社の申請を巡っては、まだ審査が続いている。6月の値上げを申請した東京電力など2社の値上げ実施時期も遅れそうだ。

 そうこうしているうちに、申請されていた値上げ率が、再算定の結果下がるとの報道がでてきた。例えば、東京電力の申請時の値上げ率は29.3%から17.6%に下がった。

 さらに、消費者が電気料金で負担している再生可能エネルギーの賦課金額も今年度から下がるとの報道もあった。

 電気料金が下がるのは望ましいが、私たちが実際に支払う電気料金は、燃料市況によって増減する(燃料費調整制度)。

 インフラに関し大切なこともある。企業が赤字になり、体力を失うと必要な投資が行われず、インフラ強靭化どころではなくなる。欧州では中国国営企業がインフラ企業を買い漁った。海外企業による買収も警戒が必要になる。

 政治は目先のことばかりではなく、遠くを見る視線も持つべきだろう。


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