電気料金の高騰が続いている。大手電力会社7社は、家庭用電灯契約者の約半数が選択している規制料金の4月あるいは6月からの値上げを申請している。岸田文雄首相は、5電力会社の4月からの値上げ申請に関し厳格審査、実質値上げの先送りを指示したと報道されている。
自由化している料金は値上げ可能だが、安く抑えられている規制料金の値上げを認めないのであれば、市場自由化とは相容れない国の規制があることになる。政府は電力会社に負担を押し付けるのではなく、電気料金を引き下げる策を早く実行すべきだ。
電気料金を短期間で下げるためには、原子力発電を利用するしかない。建て替え、新設には時間が必要になるが、日本には再稼働済みの10基に加え再稼働を待つ原発25基がある。送電線などの既存インフラの利用も可能だ。再稼働すれば、電気料金の引き下げに加え毎年のように危機が叫ばれる電力の安定供給も実現する。
再稼働に時間が掛かっている理由は安全性の確認という重要な工程が含まれているからだが、原子力規制委員会と事業者は再稼働に取り組むための十分な人員を確保しているのだろうか。関係者からは一部の組織では人員が不足していると指摘する声も聞こえてくる。
多くの消費者は、料金引き下げと安定供給のため、再稼働を速やかに実行して欲しいと願っているだろう。加えて、原子力発電技術は、日本の安全保障にも大きく係る、日米同盟を支える基盤であることも忘れてはいけない。
原発再稼働で電気料金はどれほど下がるのか
欧州のエネルギー危機に端を発し大きく値上がりした化石燃料の価格は、日本の電気料金の高騰を引き起こした。昨年末から今年にかけての欧州の暖冬と欧州需要家の節エネ、節電努力による燃料の需要減により、化石燃料価格は年明けから値下がりした。しかし、危機前のレベルとの比較では依然大きく上昇したままだ(図-1)。