5月13日付ウォールストリート・ジャーナル紙は「なぜロシアはアフリカの席捲を目指すのか(Why Russia Seeks to Dominate Africa)」とのウォルター・ラッセル・ミード教授による論説を掲載している。ミードは、ワグネルのアフリカ浸透はウクライナ戦争継続を助けており、これに対応するために米国は民主主義振興と人権尊重を重視した対アフリカ政策を見直すべきだと論じている。その要旨は以下の通り。
世界で紛争が頻発する中、ニジェールは重要ではないかもしれない。米軍は不名誉な撤退をしており、米軍の空軍基地にはロシア軍が入っている。
昨年夏のクーデター以前は、ニジェールはアフリカでの米国の民主主義振興努力の象徴で、反テロ戦略の基盤だった。米国が支援した大統領は軟禁され、クーデター指導者はワグネルと共働している。
「通常」であればニジェールは重要でないだろうが、今はそうではない。ニジェールへのロシアの浸透はより幅広い文脈で繰り返されている。
リビアから南アフリカまで、プーチンは米国と西側の失敗に乗じ鉱物資源を手に入れ、西側の安全保障計画を複雑化し、制裁破りの能力を高めている。ワグネルは、英国の東インド会社以来最も成功した半官半民の傭兵会社で、フランスへの広範な憎しみと西側が支援する政府が弱体なことに乗じてきた。彼らは、金、ダイヤモンド他の鉱物資源で富を築き本国のパトロンに供給してきた。
プーチンにとりアフリカ戦略の利益は明白だ。ワグネルの活動は数十億ドルを生み出し、内いくらかはプーチン周辺のオリガルヒに流れ、ウクライナ戦争遂行も助けた。そして、採掘活動とアフリカ全土の政府との関係は資金洗浄と制裁逃れを可能とし、プーチンの戦争継続を更に支援した。