2024年6月30日(日)

BBC News

2024年6月28日

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イギリスの新党「リフォームUK」の選挙スタッフが、ナイジェル・ファラージ党首の選挙活動中に同性愛嫌悪や人種差別に基づく発言をしていたことが、英「チャンネル4」の潜入取材で明らかになった。

リフォームUKは、「受け入れられないコメント」をしたスタッフはすでに、ファラージ氏の選挙活動には関わっていないと説明している。

チャンネル4の記者は、リフォームUKの幹部ロブ・ベイツ氏と、党関係者2人の会話を秘密裏に録音した。

録音では、党関係者のうちの1人が同性愛嫌悪的な発言していた。

この人物は、警察車両に取り付けられた性的少数者(LGTBQ)の連帯を示す虹色の旗(レインボー・フラッグ、プライド・フラッグ)を、「退廃の旗」だと説明。「警察はあんなくだらないものを宣伝して、何がしたいんだ」と、他の2人に話しかけた。

また、LGBTQコミュニティーの人々は小児性愛者だと繰り返し主張し、LGBTQへの連帯を示す「プライド」運動に警察が参加していることを批判した。

この人物はさらに、将来的にリフォームUKが政権を握ったあかつきには、「警察官は準軍事組織になり、警察ではなくなる」だろうと語り、「統制し直すべきだ」と話した。

BBCニュースはこの人物の身元を特定できていないが、この人物と連絡を取ろうと試みている。

この会話の中でベイツ氏は、リフォームUKはファラージ氏を当選させるために、法的な上限の「2倍の額」を支払っていると話した。

ベイツ氏はその後、チャンネル4に対し、この発言は冗談で、自分は選挙活動の支出には携わっていないと明らかにした。

リフォームUKも同局に、選挙活動の支出は「法的な上限に十分収まっている」としている。

チャンネル4の放送ではさらに、ファラージ氏の選挙区で勧誘員を務めていたアンドリュー・パーカー氏が、人種差別や同性愛嫌悪、イスラモフォビア(イスラム教嫌悪)的な発言をしていたことが明らかになった。パーカー氏は、インド系イギリス人のリシ・スーナク首相について話す際に、人種差別的な侮蔑表現を使っていた。

また、イスラム教を「最も不快なカルト」だと表現したほか、軍隊の新兵は、英仏海峡を渡ってイギリスにやってくる不法移民を乗せた小型ボートで、ボートを標的にした「射撃訓練」をするべきだと話していた。

ある時には、有権者に対して、リフォームUKは「モスク(礼拝堂)からムスリムを

全員追い出して、モスクをウェザースプーン(全国チェーンのパブの名前)に変えるだろう」と話していた。

選挙活動中、パーカー氏は潜入取材の記者に対し、移民問題、特に白人以外の世帯を話題にする際には「違法」という言葉を使うようアドバイスした。

この映像の公開前、パーカー氏はチャンネル4に対して、「ナイジェル・ファラージ氏個人も、リフォームUKも、私の移民に関する個人的な見解について認識していない」と声明を発表した。

「私はファラージ氏や党と、移民問題について話し合ったことはなく、録音中に私が発言した内容は、発言したテーマに関する自分の個人的な見解だ」

「したがって、私の個人的な見解がファラージ氏や党に悪影響を及ぼし、その評判を落とす結果となったのならば、ナイジェル・ファラージ氏と党に深くお詫びする。そのつもりはなかった」

ファラージ党首は27日、リンカンシャー州ボストンでの集会で、リフォームUKは「完璧な党ではない」と話した。

「発言すべきでなかったことを口にした候補者が、1人か2人いた」とファラージ氏は説明。「ほとんどの場合、その人たちは、ごく普通の人が話すように話しているだけだ」と語った。

「その人たちは、政界の主流を占めるオックスブリッジ出身者のような話し方はしない。それは分かっている。1人か2人に失望させられたため、その人たちは解任した」と、ファラージ氏は述べ、さらに「まあ、現代の保守党が、国際的な価格操作や賭博一味だということと、比べてみるといい」とも付け足した。

ファラージ党首と同席していたリチャード・タイス党代表は、人種差別的発言は「不適切」だと述べた。

「声明を発表したが、それを読めばすべて自明だ」と、タイス代表は述べ、「実際問題、我々は急成長中の組織だ。無報酬のボランティアがいると、不適切な行動をする人もいる。そういう人たちは去っていく」と説明した。

ファラージ党首が下院選に出馬している選挙区クラクトンで、同党の選挙活動主任を務めるピーター・ハリス氏は、「報道されたコメントに愕然としている」と述べた。

「このような短期間での選挙戦では、どの政党も、それまで会ったことのない多くの活動家と協力しなくてはならない状況で、時に大変なこともある」とハリス氏は述べた。

「受け入れがたい発言をし、そのような考えを持ち主だと判明した人は全員、我々の選挙活動には参加してもらいたくない。我々はクラクトンのすべての有権者を代表する選挙活動を展開している」

(英語記事 Reform UK campaigners caught making racist slurs

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cl4ynp10klyo


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