バーンド・デバスマン・ジュニア、BBCニュース、ワシントン
ジョー・バイデン米大統領は28日、自分の年齢をめぐる批判に反論し、今年11月の大統領選では再選を果たすと支援者に約束した。大統領は前日に行われた討論会で精彩を欠いたことから、民主党の候補として適格なのか懸念が出ている。
バイデン氏は27日、ドナルド・トランプ前大統領とのテレビ討論会で苦戦した。これについて、翌日に激戦州ノースカロライナで開かれた支援者集会で、「言うまでもなく、自分が若くないのはわかっている」と述べた。
「前ほど楽に歩けないし（中略）討論も前ほどうまくできない」と、81歳の大統領は認めたうえで、「けれども、知っていることがある。本当のことを話すにはどうすればいいか私は知っているし、この仕事のやり方も知っている」と強調した。
バイデン氏は、自分は大統領として2期目を務められると「心と魂」で確信していると述べ、ノースカロライナ州ローリーの集会に集まった支持者は歓声を上げながら「あと4年」と連呼した。
他方でトランプ前大統領はこの数時間後、ヴァージニア州で集会を開き、自分が討論会で「大勝利した」と主張。「ジョー・バイデンの問題は年齢ではない」と78歳の前大統領は述べ、「無能だというのが問題だ。すさまじく無能だ」と批判した。
CNNによると、27日の討論会はテレビで4800万人、オンラインで数百万人が視聴したという。
バイデン氏が選挙戦から離脱するという憶測について、自分は信じていないとトランプ前大統領は述べ、カリフォルニア州知事のギャヴィン・ニューサム氏や副大統領のカマラ・ハリス氏ら他の民主党議員よりもバイデン氏の方が「世論調査で良い結果を出している」と指摘した。
バイデン氏の年齢が懸念材料として指摘されるのは、今に始まったことではない。しかし、声はしわがれ、時に言葉に詰まり沈黙し、時に発言の意味がわかりにくいといった討論会での様子に、一部の民主党関係者はパニック状態に陥った。11月の本選に向けて、バイデン氏が民主党の大統領候補としてふさわしいのか、あらためて疑問視する声が相次いでいる。
BBCのキャティー・ケイ特別アメリカ特派員が、民主党関係者や大統領に近い人たちに話を聞いたところ、候補としてのバイデン氏の力量に民主党の大勢が不安を抱いている様子が明らかになった。
前下院議長のナンシー・ペロシ氏は、「素晴らしい討論をしたとは言えない」と述べた。バイデン氏の元広報担当、ケイト・ベディングフィールド氏など他の民主党関係者は、討論会での大統領の様子は「本当に残念だった」と述べた。
民主党に献金している複数の支持者は匿名で、もっと率直にメディアに答えている。そのうちのひとりは、あれでは候補として「失格」になってもおかしくない姿だったと批判した。民主党関係者のひとりは英紙フィナンシャル・タイムズに対して、「あれより悲惨な展開など、彼がステージから落ちるくらいしか考えられない。大口献金をしている支持者たちは、彼ではもうだめだと言っている」と話した。
27日には米紙ニューヨーク・タイムズ紙の論説委員会が、バイデン氏に撤退するよう求めた。同紙は、民主党は「バイデン氏がこれ以上、大統領選を続けられないと認め、その代わりに、彼より能力のある人物を選ぶプロセスを作るべきだ」と述べた。
しかし、バイデン氏を支える多くの民主党幹部は28日、表向きには、リベラル派の動揺を鎮めようと、大統領擁護に動いた。そのひとりのバラク・オバマ元大統領は、「討論会でうまくやれないことはある」と書いた。
オバマ氏はそのうえで、「この選挙は今でも、一生をかけて普通の人のために闘ってきた人間と、自分のことしか考えていない人間のどちらを選ぶかで、それは変わっていない」と指摘。オバマ氏はさらに、トランプ前大統領は「自分が得するためなら、平然とうそをつく」人間だと批判した。
バイデン氏と陣営関係者は、候補を降りるべきだという声をただちに退けた。
「バイデン大統領はドナルド・トランプを打ち負かした唯一の人物だ。そして大統領はまたトランプに勝つ」、「この選挙の勝敗はそもそも、1回の集会、1回の会話、1回の討論会で決まるようなものでは決してない」と、選対顧問は述べた。
バイデン陣営はまた、ここ数日で1400万ドルの献金を集めたと発表し、勢いを維持していることをアピールした。
バイデン氏は28日と29日にかけてニューヨークを訪れ、マンハッタンや富裕層の多いハンプトンズ地区などで、大口献金をしてきた支援者と会う予定。
（英語記事 Biden vows to fight on in first speech after Trump debate）
