約3年働いた後、退職。やり残していた米国公認会計士の勉強に専念した。その頃、国際会計コンサルタント企業「SCSグローバルビジネスソリューションズ」マニラ支店の代表に、銀行時代の先輩が転職し就いた。「うちで働いてくれる人を探しているんだけど、誰か良い人いないかな? 寺田さんはどう?」と声を掛けられたのがフィリピンとの出合いであった。
「いずれは海外で働きたい」と思ってはいたが、寺田さんの想像していた「海外」にフィリピンは含まれていなかった。とりあえず一度足を運んでみると、イメージと異なる近代的な街並みに驚いた。
09年、SCSグローバルビジネスソリューションズに転職し、フィリピン生活が始まった。その後の活躍は冒頭で触れた通りである。独立後、社員は寺田さん1人、オフィスは自宅という状況からのスタートだったが、今では社員6人、パート社員3人となった。
フィリピンへ来て最も驚いたことは「女性の社会進出が進んでいること」と、寺田さん。マスターカードワールドワイドが13年3月に発表した『女性の社会進出度調査』の結果では、フィリピンは70.5ポイントと、48.1ポイントの日本を圧倒している。事業主や企業・政府機関の管理職等をポイント化した「女性リーダーシップ」部門に限ればフィリピンは45.6ポイント、日本は14.2ポイントとその差は歴然としている。寺田さんの周囲には多くの日本人女性が活躍している。
「若くして活躍することができ、男女の差はない。日本に蔓延しているような閉塞感もこちらにはない。飛び出してみて正解でした」と寺田さんは考えている。
日本から遠く離れたフィリピンでの暮らし。「日本が恋しくならないですか?」と問うてみると、「いや、それがあまり異国の地にいる感じがしないんですよ。飛行機に乗ればすぐに日本へ行けますしね。福岡から東京へ行くのと、フィリピンから東京へ行くのとでは飛行機に乗っている時間が少し長くなるぐらいかなぁといった感覚です。海外にいるという特別な思いはありません」。