2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年7月24日

議長国の外遊による影響

 議長国といっても、その権限は限られている。ハンガリーは法の支配の問題との関連でEUの支援資金200億ユーロに近い額の提供を依然停止されており、これが抑制要因として働くかも知れない。EUとしての移民問題への対応に当り、相当の攪乱要因になるかも知れないが、それは織り込み済みということであろう。

 しかし、議長国であることを利用したかく乱の事例は早速発生した。7月1日、彼はウクライナを訪問した。5日には突如としてモスクワを訪問し、次いで8日に北京を訪問した。彼は一連の訪問を「平和ミッション」と称している。

 プーチンとの会談についてEUのボレル上級代表は、「(EU首脳会議の)立場はEUとプーチン大統領との正式な接触を排除している。よって、ハンガリー首相は如何なる形であれEUを代表していない」と表明した。

 中国側の発表によれば、オルバンは「中国は世界平和促進のための重要な安定化の力」であると表明し、習近平は「ウクライナ危機の政治的解決の促進のためのオルバンの努力を称賛した」ことになっている。このようなEUと北大西洋条約機構(NATO)の結束を乱す勝手な行動が及ぼす害が軽視されてはならないであろう。

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