2024年12月27日(金)

バイデンのアメリカ

2024年7月23日

 トランプ氏の子息、トランプ・ジュニアも17日の党大会演説の中で、ハリス氏に言及し「彼女はバイデン以上に思想的にリベラルであり、能力的にも劣る」と批判した。

 こうした動きは、逆説的に、共和党陣営が、ハリス氏がバイデン氏より手ごわい相手であるとして警戒視していることを示すものと言えよう。

 ではなぜ、ハリス候補に対する警戒が強まりつつあるのか。おもに4つの理由が挙げられよう。

戦略の練り直し

 第一に、「老いぼれジョー(バイデン氏の蔑称)VS闘志みなぎるトランプ」の対比がもはや通用しなくなり、逆に今度は「若さと才気あふれるハリス(59歳) VS 高齢(79歳)で新鮮味のないトランプ」の対決となり、トランプ氏が不利に立たされかねない点がある。

 この点について、CNNテレビの報道によると、共和党選対本部は、トランプ氏が圧倒的に優位に立ったTV討論会後も、バイデン氏が撤退要求の逆風をはねのけ、最終的に党大会で指名されることを前提として、バイデン氏とトランプ氏との違いを浮き立たせる戦術やTV選挙広告作成にとりかかってきたことを明らかにするとともに、「今となっては選挙コマーシャルなどは一からやり直さなければならない」と語ったと伝えられている。

 また、トランプ氏との対比では、ハリス氏は印象のみならず、弁舌にもたけているため、9月に予定されている大統領候補同士のTV討論会では、バイデン氏が相手だった時とは逆に、誇張や事実誤認の多いことで知られるトランプ氏がやり込められる恐れもある。

民主党は再び「結束」

 第二に、民主党がバイデン撤退により、ハリス氏指名に向けて早期の本格的態勢立て直しに着手し始めた点がある。

 もし、バイデン氏が撤退を回避したまま、党大会に臨んだ場合、各種世論調査で民主党支持者の7割近くが「候補差し替え」を支持し、米議会でも50人近くの民主党議員らが撤退を求めてきただけに、深刻な党内亀裂が露呈する可能性大だった。その結果、11月本選で「大敗」も懸念されてきた。

 また、バイデン氏撤退表明後、党大会に向けて、複数の有力候補が名乗りを上げた場合、激しい代議員獲得争いが演じられ、大会が大混乱に陥る危険もあった。

 しかし、バイデン大統領自身が撤退表明後、ただちに「党指名候補としてハリス副大統領を全面支援する」との明確な方針を打ち出したほか、同党幹部、議会上下両院の民主党首脳らも一様に、ハリス支持で足並みをそろえつつあるため、混乱は回避され、党としての結束にめども立ったとみられている。

 また、21日現在、ハリス氏に代わる候補として名乗りを上げた民主党有力者は、ホイットマー知事らを含め一人も現れていない。


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