パリ・オリンピック(五輪)は競技8日目の3日、日本勢がメダル4個を勝ち取った。柔道混合団体では2大会連続の銀メダルを獲得。卓球女子シングルスの早田ひな、バドミントン女子ダブルスの志田千陽・松山奈未ペア、フェンシング女子サーブル団体の日本チームも、それぞれ銅メダルを得た。
柔道混合は代表戦でフランスに敗れる
柔道の混合団体は、男女それぞれ3階級ずつ計6試合で争う。先に4勝すると勝ちで、3勝3敗になった場合は、抽選で階級を決める代表戦で決着をつける。出場選手はラウンドごとに変えられる。日本は今大会の代表選手全員が出場可能だった。
日本は初戦の2回戦、スペインを相手に代表戦までもつれた末、4-3で勝った。第1試合の女子57キロ級では、個人(女子52キロ級)でメダルを逃した阿部詩が合わせ技一本で勝利。代表戦は女子70キロ級の高市未来が一本勝ちした。
準々決勝はセルビアに4-1、準決勝はドイツに4-0で、それぞれ勝利した。
決勝は2大会連続でフランスと対戦。東京五輪では敗れている。
第1試合(男子90キロ級)は村尾三四郎、第2試合(女子70キロ超級)も高山莉加がそれぞれ勝ち、日本は2-0とリードする。
しかし、第3試合(男子90キロ超級)は斉藤立が、今大会の同階級の個人で金メダルを獲得したテディ・リネールに延長戦で一本負けを喫した。
それでも日本は、第4試合(女子57キロ級)で角田夏実が得意のともえ投げで一本勝ち。金メダルまであと1勝とした。今大会の同48キロ級で金メダルを獲得した角田はこの試合、2階級上の銅メダリスト、サラ=レオニー・シジクを破った。
続く第5試合(男子73キロ級)には、今大会の同66キロ級で金メダルを手にした阿部一二三が出場。延長戦を合わせ8分50秒を超える熱戦の末、今大会の同73キロ級で銀メダルのジョアン=ベンジャミン・ギャバに一本負けした。
第6試合(女子70キロ級)は、高市が延長戦で技ありを奪われて敗れる。これで3-3となり、決着は代表戦に持ち越された。
抽選で男子90キロ超級となった代表戦も、延長戦にもつれ込んだ。雪辱を期した斉藤だったが、開始から6分26秒、リネールに大内刈りで1本を取られる。これで、2大会連続となるフランスの金メダルと、日本の銀メダルが決まった。
リネールは五輪通算5個目の金メダルを獲得。フランスの五輪選手の最多記録に並んだ。
銅メダルは韓国が獲得した。
日本の銀メダルという結果に、高市は「本当にうれしいです。本当に長かったなという気持ちと、本当にたくさんの挑戦をすることができて幸せだったなという気持ちでいっぱいです」と喜んだ。
一方で斉藤は「本戦で負け、代表戦で挽回できるチャンスだったが負けてしまったので悔いが残ります」、「今日勝たないといつ勝つんだという場面で勝てなくて、本当に顔向けできないです」と話した。
阿部詩は今大会を振り返り、「私が望んでいた結果では終わることができなかったんですけど、それよりも大きいものを自分自身の中に収穫できたかなと思う。オリンピックの借りはオリンピックでしか返せないと思うので、必ずリベンジしたいです」と決意を表明。
阿部一二三は「うれしい気持ちも悔しい気持ちも両方味わえた、なにものにも代えられないオリンピックになったと思います。今日の負けで、多分みんながもっとびっくりするくらい僕は強くなると思うので、今後の阿部一二三にもっともっと期待してもらいたいと思います」と話した。
卓球の早田ひなが銅
卓球女子シングルスの早田は、2日の準決勝で中国の孫穎莎にゲームカウント0-4で敗れ、この日の3位決定戦に臨んだ。
相手は韓国のシン・ユビン。シンは1日の準々決勝で、平野美宇をゲームカウント4-3で下していた。
早田は第1ゲームを9-11で落としたが、第2、第3ゲームをともにデュースの末に連取。勢いに乗って第4ゲームも11-7で奪い、表彰台まであと1ゲームに迫った。
第5ゲームは競り合い、またもデュースに。早田はこれを落とし、ゲームカウント3-2となった。
第6ゲーム、早田はポイントを連取して優位に進める。10-7でマッチポイントを迎えると、早田のサーブに対するシンのレシーブがネットにはね返り、ゲームカウント4-2で早田が銅メダルを決めた。
早田は試合後のインタビューで、「おとといの試合で腕を痛めてしまって、昨日はそのギャップで、自分の現実を全然受け入れられないままプレーしていた。今日も練習の時は同じような感じだったんですけど、ドクターに注射を打ってもらって、『もしかしたらいけるかも』という感覚まで戻って来たので、自分を信じて最後まで戦うしかなかったです」と、体調が悪い中での試合だったことを説明した。
表彰式後には、「100%の状態ではなかったですけど、プレーすることが本当に楽しかったですし、みなさんに本当に少しですけど恩返しできたんじゃないかなと思います」と話した。
この種目の金メダルは、中国の陳夢が東京五輪から2大会連続で獲得。銀メダルは中国の孫だった。
「シダマツ」ペアが表彰台に
バドミントン女子ダブルスでは、志田・松山ペアが3位決定戦に臨んだ。前日の準決勝で、中国の劉聖書・譚寧ペアに敗れていた。
この日はマレーシアのパーリー・タンとティナ・ムラリタランのペアと対戦。志田・松山ペアは序盤から主導権を握り、第1ゲームは21-11で奪った。
第2ゲームも終始優勢に試合を進め、粘りを見せるマレーシアのペアを振り切り、同じく21-11で奪取。ゲームカウント2-0で銅メダルを獲得した。
志田は表彰式後、「観客のみなさんの応援もあって、思ったよりも緊張せずに『シダマツ』らしく戦えたので、本当によかったです」と笑顔で喜びを表現。松山も「最後勝って終われてよかったです」と話した。
金メダルは中国の陳清晨・賈一凡ペア、銀メダルは中国の劉・譚ペアが、それぞれ手にした。
フェンシング女子サーブル団体も銅
フェンシング女子サーブル団体の日本は、初戦の準々決勝でハンガリーを破ったが、準決勝でウクライナに敗れ、3位決定戦に回った。
フェンシング団体は、チーム3選手(リザーブ1選手)が相手と総当たりの計9試合をして争う。各試合(最大3分間)のポイントを積み上げ、先に45ポイントを取るか、最終的に得点の多いほうが勝ちとなる。
世界ランキング8位の日本は、個人で世界選手権2連覇を果たした江村美咲、高嶋理紗、福島史帆実、リザーブの尾崎世梨というメンバー。銅メダルをかけた戦いは、同1位の地元フランスとの対戦となった。
第2試合が終わって7-10とリードされた日本は、第3試合で尾崎が連続ポイントで15-13と逆転。しかし第5試合でフランスに再び逆転され23-25となった。
日本は第6試合で1ポイント差に詰め寄ると、第7試合で高嶋がまたも形勢をひっくり返し、35-30とリード。その後、フランスは追い上げをみせたが、最終第9試合で江村が決勝のポイントを奪い、45-40で勝利した。
金メダルはウクライナ、銀メダルは韓国が、それぞれ獲得した。ロシアによる侵攻が続くウクライナにとっては今大会初の金メダルとなった。
バレー女子は準々決勝に望み
バレーボール女子は、日本が1次リーグの第3戦でケニアに3-0で勝利した。これでグループBで1勝2敗となり、3位が確定。2位までに入ってグループ通過を決めることはできなかった。
しかし、各グループの3位の中で上位2チームに入ると、準々決勝に進むことができる。4日のアメリカ対フランスの結果次第で、その行方が決する。
一方、サッカー女子の日本は、準々決勝でアメリカと対戦。0-0のまま延長戦に入ると、前半アディショナルタイムにアメリカのFWトリニティ・ロドマンにゴールを決められ、0-1で敗れた。
日本は3大会ぶりの準決勝進出は果たせなかった。