2024年8月8日(木)

BBC News

2024年8月8日

イスラム組織ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏が先月末、イランの首都テヘランで殺害されたことをめぐり、同国のアリ・バゲリ・カニ外相代行は7日、「適切な時期」に「ふさわしい」方法で対応を取ると述べた。

この発言は、ムスリム(イスラム教徒)が多数派の国々で構成する「イスラム協力機構(OIC)」の緊急会合の中で出た。会合は、イランとパレスチナ当局の要請で、サウジアラビアのジッダで開催。ハニヤ氏殺害に対するイランの対応が議題となった。

殺害をめぐっては、イランはイスラエルが実行したとし、「厳しい罰」を加えると報復を宣言している。イランと協力関係にある国々もイスラエルを非難しており、中東の緊張は急激に高まっている。イスラエルはこの件についてコメントしていない。

この日の会合では、イランの外相代行が、ハニヤ氏殺害に対するイランの対応について、OICの加盟各国が支持することを「期待」していると表明。「イランの行動は、自国の主権と安全保障を守るものだけではなく、地域全体の安定と安全を守るものでもある」と述べた。

OICはのちに声明を発表。ハニヤ氏殺害を、イランの主権への「深刻な侵害」にあたる「凶悪な攻撃」だとし、イスラエルが「全責任を負っている」とした。だが、イランの軍事行動を支持するとまでは表明しなかった。

イランは4月、シリアにあるイラン大使館の領事部が攻撃されたことへの報復として、イスラエルに向けてドローン(無人機)やミサイル300以上を発射した。今回も同じような対応を取るのではないかとの懸念が広がっている。

OICのママドゥ・タンガラ議長(ガンビア外相)は、ハニヤ氏殺害について、「地域全体を巻き込みかねない広範囲の紛争」を引き起こす可能性があると指摘。「パレスチナの大義を鎮めるものではなく、むしろ増幅させる」と述べた。

サウジアラビアはこの日、ハニヤ氏殺害について初めてコメント。ワリード・アル=クライジ副外相が、イランの主権に対する「露骨な侵害」だとした。

米仏などもイランに働きかけ

米国務省のマシュー・ミラー報道官は、「紛争をエスカレートさせるいかなる手段にも訴えるべきではないと、私たちがイスラエルに働きかけているのと同様に、イランと関係をもつすべての当事者もイランに対して働きかける」ことを、アメリカとして望んでいると述べた。

ミラー氏はまた、アメリカがOICのいくつかの加盟国と接触していると説明。それらの国々が、「事態の深刻化は地域の問題を悪化させるだけ」という「認識で広く一致している」と信じているとした。

今週に入って、外交努力が続けられている。6日にはアメリカのジョー・バイデン大統領がヨルダン、カタール、エジプトの各首脳と電話で会談した。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は同日、「誰もこの紛争をエスカレートさせてはならない。私たちは協力国やパートナーらと集中的な外交を展開しており、そうしたメッセージをイランに直接伝えてきた。そうしたメッセージはイスラエルに直接伝えた」と述べた。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は7日、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領と電話で協議。イランが対応を強めれば、「地域の安定を永続的に害することになる」と伝えた。

これに対しペゼシュキアン氏は、西側が戦争を防ぎたいのであれば「武器販売とイスラエル支援を直ちにやめるべきだ」と、マクロン氏に述べたとされる。

(英語記事 Iran will respond at ‘right time’ to killing of Hamas leader

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c3rdlz5g2dvo


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