2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年8月8日

 7月22日付FT紙は‘Beijing and Manila strike deal to reduce tensions in South China Sea’(中比は南シナ海の緊張緩和のために合意達成)との解説記事を掲げ、第二トーマス礁に関して発表された中比暫定合意(内容は未公表)について解説している。概要は次の通り。

南シナ海の緊張緩和に向け中国と暫定的に合意を決めたフィリピンのマルコス大統領(dvids)

 フィリピンは、南シナ海で最も危険な発火点になっている係争環礁における前進基地への物資供給に関する「暫定的アレンジメント」を中国と合意した。21日にフィリピン外務省が声明で述べたところでは、中比両国の外交官は第二トーマス礁における古い沈没船シエラ・マドレに対する補給活動に関し、ここ数週間に何度となく行われた協議の末に、取引に合意した。

 中国外交部は真夜中過ぎに発表された声明で、中国が比の人道的補給ミッションを「許可する」ことに合意したと確認したが、同時に領有権の主張とフィリピンがその前身基地になっている沈没船を撤去すべしとの要請を繰り返した。同時に中国外交部は、現地での確認を行うとの条件を繰り返し、各補給活動を監督すると述べた。

 合意が維持されれば、1年以上続く暴力の悪循環を断つことになり得る。中国の沿岸警備隊は、同環礁に駐留する少人数の比海兵隊員に対する補給を行うために比軍により委託された船舶の航行を妨げてきた。

 中国側の最も攻撃的な対応としては、6月に中国沿岸警備隊が比側船舶に体当たりし、乗船し、銃器を押収し、槍を使ってフィリピン側船舶に穴をあけ、乗員を脅したことが挙げられる。この衝突で、この睨み合いがフィリピンの同盟国であり、米比相互防衛条約が第二トーマス礁にも適用されることを保証した米国と中国との直接衝突の引き金になりかねない、との懸念が高まった。


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