2024年12月29日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年7月17日

 2024年6月20日付ウォールストリート・ジャーナル紙社説は、南シナ海のセカンド・トーマス礁を巡る中国とフィリピンの最近の衝突事件をとりあげ、中国は米国の出方を探っていて、場合によっては、中国があえて挑戦におよぶ危険が増していると論じている。

天安門広場を行進する中国軍(CornishPhotography/gettyimages)

 中国は米国にとって重要なアジアの同盟国に対する海洋のハラスメントを強化した。フィリピン海軍が絡む深刻な衝突は、この地域における中国の野心の大きさを物語る。

 6月17日、中国の船舶が、セカンド・トーマス礁の前哨基地に補給を試みる2隻のフィリピンのボートを捕まえた。これは南シナ海のフィリピンの排他的経済水域内の地点にあり、ここにフィリピンは軍事拠点として第二次世界大戦時の艦船Sierra Madreを維持している。

 フィリピン当局は、中国の海警の船舶が補給のためのゴムボートと乱闘になり、中国側はナイフと槍で戦い、フィリピンの水兵一人が親指を失ったと言っている。フィリピン軍参謀総長は「海賊行為」だと非難した。これは両国間の長期にわたる領土紛争のなかで最も重要な衝突の一つである。

 中国は、南シナ海の大部分を中国のものだと主張している。この主張にはフィリピン、ベトナム、マレーシア等が異議を唱えている。

 ハーグの仲裁裁判所が中国の主張を斥ける判決を出した。しかし、中国による漁船その他船舶に対するハラスメントを抑止できずにいる。


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