2024年8月26日(月)

BBC News

2024年8月25日

イスラエル軍は25日朝、レバノン南部にあるイスラム教シーア派組織ヒズボラの標的に対し、戦闘機約100機で「先制攻撃」を実施したと発表した。ヒズボラはその後、イスラエル北部にロケット弾やミサイルを多数発射したと発表した。

イスラエルによる攻撃は午前4時半ごろあった。同国は、ヒズボラがその30分後の午前5時に大規模攻撃を計画していたと説明した。

一方のヒズボラは、イスラエル北部の軍事施設を狙ってロケット弾とミサイルを300発以上発射したと発表した。

イスラエル北部では空襲警報が鳴り響いた。

ヒズボラは、この日の作戦は「完了し、達成された」とした。

イスラエルはその後も、ヒズボラのロケット発射台へのさらなる攻撃を実施したと発表した。

レバノン保健省は、3人が殺害されたと発表した。

イスラエル軍は、ヒズボラのロケット弾による被害は 「ほとんどない 」としている。

イスラエルが戦闘に関わったとする戦闘機「100機」という数が正しければ、同国によるレバノンへの攻撃としては、イスラエルとヒズボラの間で本格的な戦争となった2006年以降で最大規模となる。

米紙ニューヨーク・タイムズが匿名のイスラエル情報当局者の話として報じたところでは、ヒズボラはイスラエル中央部の最大都市テルアヴィヴへのロケット弾攻撃も計画していたという。

この衝突の激化を受け、再び双方による本格戦争につながるのではないかとの懸念が中東全域に広がっている。

「報復の第一段階」とヒズボラ

ヒズボラは声明で、今回の攻撃は最高幹部フアド・シュクル氏が7月30日にイスラエルによってベイルートで暗殺されたことへの報復の第一段階だとした。

翌31日にはイランの首都テヘランで、パレスチナ自治区のイスラム組織ハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏が暗殺された。背後にはイスラエルがいたとの見方が強まっている。

以来、中東地域は、ヒズボラとイランの両方の報復がいつなのかと待つ状態となってきた。

イランはまだ報復に出ていない。

中東では、パレスチナ自治区ガザで危機的な状況が続いている。それが地域紛争へと拡大するのを避けようと、各国の外交官らがここ数週間、努力を重ねている。

アメリカは、イスラエルとハマスが停戦と人質解放で合意できない状況が続いていることから、そうした外交努力が失敗に終わる恐れがあると警告している。

アメリカは当事者に強い圧力をかけているが、戦争は10カ月以上続き、停戦合意をめぐる協議は何の結果も生み出していない。

戦争は望まないが準備は整える

イスラエル軍は、ガザと、レバノンとの北部国境の二つの前線で、戦争をする用意があるとしている。

ただヒズボラは、ハマスよりもはるかに手ごわいとされる。15万個近いロケット弾を保有し、中にはイスラエル全土を射程に収めるものもあるとみられている。戦闘員らはハマスよりもよく訓練されており、装備も充実している。シリアでの戦争を経験した者いる。

ガザでの紛争が始まってからほぼ1年が経過した今、イスラエルに別の戦争への意欲があるのか疑問視する人もいる。イスラエルでは軍予備役の何十万人もがガザでの戦闘のために招集されており、何回か現地に赴いた人もいる。

一方で、イスラエル北部の住民らをはじめ、多くのイスラエル人が、ヒズボラへの対処が必要だとしている。イスラエル北部では、ガザでの戦争が始まって以来、何万人もが自宅から避難しており、事業を失った人も多い。

レバノン南部でも、イスラエルの攻撃を恐れた数万人が、家を追われている。

イスラエルとヒズボラの指導者らは、再び本格的な戦争になることは望んでいないと言う。しかし双方とも、その準備はできているとしている。

(英語記事 Israel launches strikes in Lebanon and Hezbollah fires hundreds of rockets in major escalationIsrael and Hezbollah say they don't want war - but they are both ready for it

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx2n0x9x286o


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