2024年12月22日(日)

徳川家康から学ぶ「忍耐力」

2024年8月25日

 〝狂夏〟としか表現しようのない猛暑続きの8月14日、筆者は久しぶりに映画館で映画を観た。観たのは、「もし徳」こと『もしも徳川家康が総理大臣になったら』だ。

 「コロナで総理大臣が死亡」という緊急事態が勃発した日本を救国するための非常手段として、「AIを活用した家康を首班とする1年間の時限内閣を組閣」という設定のSF小説の映画化で、7月26日から鳴り物入りで全国公開された。原作の小説が発売された3年前(2021年)には想像すらしなかった〝とんでも事件〟がその後の日本で次々と起こった。

 安倍晋三元首相の暗殺や今夏の日経平均の〝史上空前〟の大暴落と大暴騰など、「日本はどうなるのか」と誰もが不安に感じる昨今。「AIを通じて過去の偉人の知恵と実行力にすがる日本の国づくり」という、本来ならありえない設定はグッドタイミングというべきか。

 映画を観て帰宅後、テレビをつけると、岸田文雄首相が「次の総裁選には出馬しない」とのニュースが流れるオマケまであって驚いた。世間は忘れているし、メディアも報じないが、岸田内閣が支持率低下に突入するきっかけは、主要7カ国(G7)の開催国のホストとしての振る舞いが見事ということで高支持率を得た矢先に放たれた「昨年末に親族を首相官邸に招いて忘年会を催した」という〝文春砲〟だった。

 つまり、「公設秘書にしていた息子の〝首相官邸私物化〟」で岸田人気は長期低迷トレンドに突入し、〝死に体同然〟だったが、「権力に恋々としない為政者」としての評価を狙った岸田流の〝引き際の美学〟といったところか。息子の後継者問題で悩みを抱えるのは、岸田に限らず、三英傑もそうで、信長も秀吉も家康も悩み苦しんだ課題ではある。

‟自社の神君”に意見を聞く

 映画「もし徳」だが、AIで過去の偉人たちを呼び出して〝コロナ突破のための時限救国内閣〟を組閣させるところから始まるキャスティングは、首相が家康(野村萬斎)、財務大臣が秀吉(竹中直人)、経済産業大臣が信長(Gackt)、官房長官が坂本龍馬(赤楚衛二)といった主要閣僚で、そのほか、外務が足利義満、法務が藤原頼長、厚生労働が5代将軍徳川綱吉らに加え、原作にはない紫式部や北条政子の女性閣僚も色を添える布陣だった。

 そんな〝ぶっ翔んだ発想の映画〟を観ていて、筆者はふと真剣に思ったものだ。

 ――「もし徳」のバーチャルな〝コロナ時限内閣〟に入閣した「戦国の三英傑」は、戦後のリアルな歴代内閣でいうと、誰が最も近いのだろう?

 そういうことを遊び心で考えてみるのも一興というわけだ。いや、どんな企業にもいえるのは、これからの時代、「右せんか、左せんか」という大きな岐路に立たされたときには創業精神に立ち返って考えるべきだろう。その際には、「もし徳」をまねて「〝自社の神君〟をAIで呼び出して経営会議に参加してもらい、意見を聞く」という手法に応用できる時がくるかもしれない。


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