2024年4月24日(水)

World Energy Watch

2014年1月9日

 シェールガスの埋蔵量を見ると、中国は世界一の埋蔵量を持つ。その量は米国の約2倍だ。やがて、中国がシェールガスの本格生産に乗り出せば、米国の覇権を脅かすことになるのだろうか。

野心的な中国のシェールガス生産計画

 中国は、12年の天然ガス需要の28.2%を輸入に依存していた。天然ガスの需要量は、今後大きく増加し、15年には12年の70%増の2500億立方メートルに達すると予想されている。地球温暖化問題、悪化する大気汚染問題からも、石炭から天然ガスへの切り替えが必要だが、この需要増を賄うことができるかが大きな課題だ。やはり期待されているのはシェールガスだ。

 中国政府の第12期5ヵ年計画(11年から15年)ではシェールガスの開発も織り込まれている。15年には65億立方メートルのシェールガスの生産が計画され、20年には800億立方メートルが想定されている。12年に10兆立方フィート(約2900億立方メートル)を超えた米国の生産量とは比べようもないが、技術も経験もない全くのゼロからの立ち上げとしては、かなり野心的な計画だ。

 この計画を達成するために、まず中国海洋石油が米国第2位のチェサピーク・エネジーが保有するテキサス、コロラド、ワイオミング州のシェールガス鉱区の3分の1の権益を10年、11年に取得し、開発する合弁事業を始めた。さらに、12年には中国石油化工集団が、総額25億ドルを使い、デボンエナジーのオクラホマ州などの4シェールガス鉱区の3分の1の権益を取得した。この目的の一つは、シェールガス生産に必要な水平掘削、水圧爆砕などの技術取得にある。

 米国のシェールガス鉱区に政府系企業が投資を行い、収益と技術取得を狙う傍ら、中国のシェールガス鉱区では欧米系企業と中国政府系企業との合弁によるシェールガス開発が始まっている。ロイヤルダッチシェルと中国石油天然気(ペトロチャイナ)の合弁事業体などが採掘を開始している。

 しかし、12年のシェールガスの販売数量は1500万立法メートルに留まり、中国の天然ガス生産に占めるシェアは0.01%にしか過ぎない。政府の生産計画の達成は困難とみられるレベルだ。中国のシェールガス生産は、米国との比較では、難しく、コストも高くなるとみられている。

中国にシェールガス革命は来るのか?

 中国での採掘コストが上昇する理由の一つは地層と地形だ。中国の地層は米国と比較すると複雑である。現在中国で採掘を行っているロイヤルダッチシェルもシェブロンも現場は四川省。山岳地帯であり、米国よりはるかに深く掘削し、そこから水平に掘削する必要がある。


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