2024年9月9日(月)

BBC News

2024年9月9日

イスラエル当局は8日、ヨルダンと、イスラエル占領下のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区の境界でイスラエル人男性3人が射殺されたと発表した。

イスラエル国防軍(IDF)は銃撃犯について、「マヘル・ジャジ」という名のヨルダン人と特定したとしている。男はトラックに乗ってヨルダン側から境界にあるアレンビー橋の検問所に近づき、トラックを降りて発砲したという。

イスラエル側は声明で、治安部隊が銃撃犯を「排除」し、IDFが爆発物の痕跡がないかトランクを調べたと説明した。

ヨルダンはこの事案について調査中としている。現場は、ヨルダン川西岸地区へ物資を搬入するヨルダンの車両の検問が行われるイスラエルの管理区域だった。この国境検問所は現在、双方からの入り口が封鎖されている。

イスラエル・メディアは、犠牲になったのはヨハナン・シュチョリ氏(61)、ユーリ・ビルンバウム氏(65)、エイドリアン・マルセロ・ポドザムツァー氏(年齢不明)と報じた。

3人は国境検問所で警備員として働いていたとされるが、軍や警察には所属していないという。

イスラエル公共放送KANは、発砲したジャジ氏は39歳のトラック運転手だったと報じた。

発生時をとらえた動画には、襲撃犯が境界地点のターミナルまで徒歩で移動して銃を3回発砲し、射殺されるまでが映っていた。

ヨルダンの境界管理当局者はロイター通信に対し、当時、境界の荷下ろし場にいた少なくとも20数人のヨルダン人トラック運転手がIDFに拘束され、尋問を受けたと語った。

イスラエルの空港当局 によると、事件を受けてイスラエルとヨルダンの陸路検問所がすべて閉鎖された。

フセイン王橋としても知られるアレンビー橋は、ヨルダンの首都アンマンとエルサレムの間のほぼ真ん中に位置し、ヨルダン川西岸地区とヨルダンを結ぶ唯一の公式検問所。イスラエルを経由しないヨルダン川西岸地区への唯一の入り口でもある。

ヨルダンとイスラエルは安全保障や貿易、外交関係を維持しているが、ヨルダンはパレスチナ人に対するイスラエルの行動に批判的だ。

ヨルダン川西岸地区とイスラエル双方の市場に物品を供給するため、1日数十台ものトラックがヨルダン側からこの検問所を通過している。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は閣議の冒頭で、「大変な一日」だったとし、犠牲者の家族に哀悼の意を表明した。

また、「いまわしいテロリストがアレンビー橋で市民3人を冷酷に殺害した」と付け加えた。

もうひとつのパレスチナ自治区、ガザ地区でイスラエルとの戦闘が続くイスラム組織ハマスは、この銃撃への関与は主張していないが、ガザ戦争に対する「当然の反応」だとした。

パレスチナ保健省によると、昨年10月7日のハマスのイスラエル奇襲とそれをきっかけにガザ戦争が始まって以降、ヨルダン川西岸地区ではパレスチナ人600人以上が暴力行為で殺害されたとしている。

これと同じ期間にヨルダン川西岸地区で起きた暴力行為で殺害されたイスラエル人は少なくとも18人にのぼることが、国連のデータで示されている。この数字には、8月11日以降の死者は含まれていない。

IDFは先週、9日間にわたる大規模作戦の末、ヨルダン川西岸地区ジェニンと同市にある難民キャンプから撤収した。同地域はパレスチナ武装勢力の拠点で、民間人約6万人が暮らしている。

イスラエルは、ヨルダン川西岸地区とイスラエルにおいて、イスラエル人殺害を意図したパレスチナ人の攻撃を食い止め、テロ行為に対抗しようとしていると主張している。

(英語記事 Three Israelis shot dead at West Bank-Jordan crossing

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx2y8vmr12mo


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