2024年9月9日(月)

BBC News

2024年9月9日

パリ・パラリンピックは競技11日目で最終日の8日、陸上のマラソンがあり、男子(車いすT54)の鈴木朋樹が銅メダルを獲得した。女子(視覚障害T12)では道下美里が4着でフィニッシュしたが、3着の選手が失格となったため順位が繰り上がり、銅メダルを手にした。道下のメダル獲得は3大会連続。

車いす男子マラソンで日本勢16年ぶりのメダル

2大会連続出場の鈴木はこの日、30キロメートルまで3位でレースを展開。35キロと40キロのポイントでは2位に上がり、終盤を迎えた。

先を行くスイスのマルセル・フグが3分以上の差をつけて1着でゴールするなか、鈴木と中国の金華は激しい競り合いに。これを制した金が銀メダル、鈴木が銅メダルを獲得した。

鈴木のタイムは1時間31分23秒で、金とは4秒差だった。日本勢がこの種目でメダルを獲得したのは、2008年北京大会以来16年ぶり。

金メダルのフグは大会3連覇を果たした。

レース後のインタビューで鈴木は、「めちゃくちゃうれしいです」と喜びをかみしめるように言葉を発した。そして、「気持ちが切れそうになるところもあったんですけど、両親から教えてもらった、最後まで諦めないということを貫き通して、日本語で最後まで『諦めない』と言いながらゴールまでがんばりました」と話した。

金との競り合いについては、「正直スプリントでは彼のほうが上だと思っていたんですけど、とりあえず自分のペースを崩さない、それだけです」と振り返った。

所属するトヨタ自動車のサイトによると、現在30歳の鈴木は生後8カ月のとき交通事故で脊髄を損傷。4歳のときに親のすすめで車いす陸上を始めた。自宅から片道2時間の陸上クラブに通い、風を切る爽快感から陸上に打ち込むようになった。2019年ロンドンマラソン3位、2020年東京マラソン優勝などの成績を残してきた。

東京パラリンピックでは、男女4選手による4×100メートル・ユニバーサルリレーに出場。4着となったが、2着だった中国が失格となったため、繰り上がりで3位となり銅メダルを手にした。鈴木は今回で2大会連続のメダル獲得となった。

3大会連続のメダル獲得

道下は東京大会のマラソンで金メダルを獲得しており、2連覇を目指した。

この日のレースでは、序盤から飛ばす選手たちを追う展開となり、5キロ地点を道下は4位で通過。その後、ペースを守りながら、先行する選手らをとらえようとしたが、差を詰めることはできなかった。

一方で、後続に対するリードはしっかり保ち、道下は順位を守って4着でフィニッシュ。タイムは3時間4分23秒だった。

3着にはスペインの選手が入ったが、その後、失格と判定された。これを受け、道下は3位に繰り上がり、銅メダルを手に入れた。

金メダルはモロッコのファティマ・エザフラ・エル・イドリシが獲得。タイムは2時間48分36秒で、道下が保持していた世界記録(2時間54分13秒)を大幅に更新した。銀メダルもモロッコのメリエム・エンヌルヒが手にした。タイムは2時間58分18秒だった。

道下はレース直後のインタビューで、「すごくスピードのある選手がいたので、自分のペースを序盤はキープして、後半きつくなってからじわじわ攻められたら最後メダルを取れるかなと思って、最後がんばろうという気持ちで走りました」とレースを振り返った。

東京大会以降については、「3年間本当にうまくいかないことばかりだったんですけど、周りの仲間が常に支えてくれて、どんなときも励まして応援してくれて、ここまで仕上げてこられたのは本当にみんなのおかげでした」と話した。

表彰式後のインタビューでは、「世界一の応援団がついていたから私はここまでたどりつけた。運も手繰り寄せられたかなって思うので、みなさんに思い切りありがとうと伝えたい」と笑顔で話した。

パラサポWEBによると、現在47歳の道下は小学4年で角膜の病気を患い、中学2年のときに右目の視力を失った。その後、左目の視力も低下し、26歳で盲学校に入学。ダイエット目的で始めたランニングの魅力にとりつかれ、30代でマラソンを始めた。パラリンピックは2016年リオデジャネイロ大会で、初のメダルとなる銀メダルを獲得。2020年には国内のマラソンで世界新記録をマークした。

今大会はこの日で、すべての競技が終了した。メダル獲得数は、日本勢が金14、銀10、銅17の計41で、金メダル数で10位だった。同1位は中国(94個)、2位はイギリス(49個)、3位はアメリカ(36個)だった。

(英語関連記事 Paris Paralympics 2024 medal results

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c62ryjz97r8o


新着記事

»もっと見る