2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年9月19日

 しかしトランプは17年減税を進め、何兆ドルの財政赤字につながることをしようとしている。トランプは赤字を気にしないが、米国と海外の投資家は心配する。増大する赤字はインフレ期待を高め、経済実績を低め、格差を悪化させる。

 またバイデン政権のインフレ低下法の廃止は環境と国の将来にとり重要な分野での米国の競争力に悪影響を与えるし、医薬品コストを低くする条項を破棄し生活コストを増加させる。

 トランプは高等教育へのアクセスを増加させる構想を葬り去ろうとしている。これは米国の長期的経済の成功に最も問題のあるトランプ政策の特徴を示す。

 第1に、次期トランプ政権は基礎科学技術への資金を減らすだろう。トランプは前政権の時にほぼ毎年科学技術予算の削減を提案したが、穏健な議会共和党員がこれを阻止した。しかし今回は違う。

 共和党は、世界中の最善の才能をひきつけ、国家の競争力を強めてきた大学に宣戦布告している。カジノ、ゴルフコース、きらびやかなホテルに米国の経済力があるわけではない。

 さらにトランプは法の支配を軽視している。トランプが売り手や契約者に支払いを拒否した長い記録があるが、彼が暴力的反乱者を公に支持する時、これはより大きな問題になる。法の支配は良く機能する経済と民主主義のために重要である。

 今、次の4年、経済がどんなショックに直面するかを知ることは不可能である。しかしこれだけは明らかである。28年の経済はもしハリスが選ばれれば、もっと強く、もっと平等で、もっと回復力があるだろう。

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トランプは経済を良くしない

 この論説は、米国内ではドナルド・トランプの方が経済を良くする能力があると考えている人が多く、カマラ・ハリスは経済政策面ではあまり期待できないとの言説があるが、Stiglitz教授がこういう意見に真っ向から反論し、トランプが再選された場合、経済面で起こり得る不都合を指摘し、経済的にはハリスの方が成果をあげるだろうと指摘したものである。


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