Wedge REPORT

2014年2月5日

»著者プロフィール
東京五輪開催が決定したものの、持続可能な企業スポーツのかたちを見出せていない(提供・ロイター/アフロ)

 資金面さえクリアできれば競技を続けられる有能なアスリートは数多くいるという。日本の競技レベルに直結する問題である。

 冒頭の桜井さんと企業を結び付けたのは日本オリンピック委員会が運営する「アスナビ」という企業と選手のマッチングシステムだ。

 「企業にヒアリングした結果、『お金がかかり過ぎる』という誤解があることに気付いたのです」(担当の永島眞由美さん)。企業によって異なるが、アスリート1人雇うのに、年齢相当給+海外遠征時などに勤務を融通するといった条件のみである企業も多く、年間500万円程度のコストが一般的である。

 アスナビは経済同友会や商工会議所等へ向けて説明会を開催し、「お金がかかり過ぎる誤解」を解いていった結果、11・12年と5人ずつの採用であったのが、13年には18人(14年4月入社含む)へと増加した。

 阪神酒販は13年5月にアスナビを利用して梶川洋平さん(三段跳び)、田中幸太郎さん(レスリング)の2人を採用した。同社は08年の事業拡大の際、一般採用とあわせて日本代表クラスのセパタクローの選手4人を採用していた。海外遠征などの際の勤務融通を除けば、原則特別扱いはなく、フルタイムで働く総合職社員としての採用である。

 8~17時の勤務後、練習という日々を過ごすが、選手の1人・寺島武志さんは「生活が安定したことと短い練習時間で成果を出すために練習を工夫したこと」などが功を奏し、10年には最高峰の大会であるアジア競技大会で銅メダルを、13年には全日本王者に輝いている。

 本業でも「他の総合職社員に負けない成果」(上司の中尾亘さん)を出し、11年からは部下3人を持つ立場に昇進した。檜垣周作社長は「アスリート社員の業務成績は大変優れており、将来の幹部候補生としてみている」と話す。当初4人だったアスリート社員は現在8人。更なる採用も予定しているという。

関連記事

新着記事

»もっと見る