もう一つの背景は米国である。近年、米国のNSCは権限を増しており、外交政策の大きな枠組みを決めるだけでなく、政策の実施にも当たっている。この傾向は、9.11以後のテロ対策、イラク、アフガニスタンでの紛争への対応で特に顕著となっている。アジア諸国が米国のNSCの権限拡大に対応して自らも同様の機関を設立し、時にややこしくもなる外交ルートを通すこと無く、ホワイト・ハウスと直接に連絡が取れる体制を作ろうとすることは不可避なことである。
外交政策及び国家安全保障問題に関する政策決定を中央に集中する傾向は、アジアの他の地域にも広まっていくであろう。このような新たな機構の出現は、アジアがより平和でなくなる前兆なのか、或いは、アジアが避け難い挑戦をよりスムーズに誤算の少ない形で処理できる前兆なのであろうか。或いは、もっと有りそうなことであるが、緊張も高まるが、対処能力も高まると言うことであろうか、と論じています。
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この論説は、アジア諸国でNSC的な機構が設置されつつあることを指摘し、その背景を良く説明しています。キャンベルも指摘する通り、アジアの安全保障環境が急速に変化していることが、こうした傾向の最も重要な背景です。このような機構の設置により、アジアの危機対処能力が高まることが期待されます。
そして、日米が早速双方のNSC同士の接触を開始したように、このような機構のチャンネルを活用して、同盟国、友好国との対話と協力関係を深めていく必要があります。他方、緊張関係にある諸国との対話と交流を維持するためのチャンネルとしても利用できないか、模索する価値があるでしょう。
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