2025年6月15日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年12月5日

 10月26日のイスラエルのイラン攻撃に対し、イランは自重し報復しておらず、イスラエルにとって攻撃の口実がない状況と見受けられる。ネタニヤフはトランプの就任を当て込み、ガザとレバノンで勝手気儘な振舞いを続けることとなろうが、これを止める手立てがあるようには見えない。

死角と懸念すべきこと

 盲点はフィリピンかも知れない。トランプの勝利を受けて、フィリピンの国防相は米国からミサイルを購入することを早速申し出たらしいが、フィリピンは恐らくトランプの視野にはない。南シナ海を自身の海とし要塞化する中国はフィリピンと衝突しているが、その背後にある中国の意図――その戦略原子力潜水艦の潜伏の海とし、あるいは米国海軍の中国への接近を阻止すること――の危険性が双方のチームで共有される必要がある。

 以上のような政策の変動に関わる過渡期の危険とは別の重大な懸念もある。それはトランプ政権と軍との間の軋轢の可能性である。

 トランプは意に染まぬ軍幹部を一掃することを考えているかも知れない。トランプは不法移民の大量国外追放のために軍を動員する誘惑に駆られるかも知れない。このような軋轢は外部には見えにくいかも知れないが、軍に動揺をもたらし、軍が地球規模で担う本来のミッションに害をなすことが懸念される。

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