一方で、特にリベラルやグローバルな視点を持っている側からすれば、G6を代表してトランプ氏に「諫言」した安倍氏の夫人を丁重に招くということは、トランプ氏が「これからの4年間も、ある程度は常識の範囲に留まってくれる」という期待の材料になる。更にいえば、知日派や東アジアの安定を重視する人々からすれば、いくら「アメリカ・ファースト」を実現すると言っても、故安倍氏との間で守った日米関係を「破壊することはないだろう」という安心材料として見ているのかもしれない。
日本としてのコミュニケーションを
コリンズ氏のXへのポストにより、報道が流れ始めたばかりであるが、アメリカではこの安倍昭恵氏のトランプ邸訪問については、静かに関心が広まっているのは事実だと思う。15日の会談では、具体的な政策に関するメッセージ交換はないであろうし、報じられることもないであろう。けれども、就任直前の多忙な時期にこの会食がセットされた意味は無視できない。
いずれにしても、韓国の政治情勢が流動化する中、東アジアの安定を維持するには日米関係を堅持することは極めて重要だ。安倍昭恵氏の訪問を契機として、官邸と外務省は改めて「二期目のトランプ政権」とのコミュニケーションのチャネルを確立しなくてはならない。石破茂首相に、その心の準備も、また外交スキルも期待できないのであれば、岩屋毅外相以下誰かが国益を背負って首相を猛特訓すべきであろう。
