1月13日付け米ナショナル・インタレスト誌のサイトで、Andrew S. Erickson米海軍大学准教授は、中国は1995-96年の台湾海峡危機を境目に、米国航空母艦の接近阻止のための対艦弾道ミサイル(ASBM)の能力向上を図ってきた、と述べています。
すなわち、冷戦期、中国は14の陸の隣国と国境をめぐって論争した。そのうち、インド、ブータンの2カ国を除き、国境紛争は解決した。ロシアとの国境を含め、そのうちのいくつかの国については中国側が譲歩したものもある。陸上での紛争が少なくなるのに反比例して、海上での紛争が多くなってきた。
これは、中国が「大陸国家」から「大陸」及び「海洋」の両分野にまたがる国家へと変遷してきたことを示している。
今日、より論争が高まっているのは、中国周辺の海洋を接する国々との関係である。台湾との関係を別として、中国は目下8つの海の国境を接する国々との間でまだ基本的合意に達していない。
中国はとりわけ、近海(黄海、東シナ海、南シナ海)への軍事的進出に重点を置いている。近海への軍事力展開において、外部から見てとくに注意を要するのは対艦弾道ミサイル(anti-ship ballistic missiles)の能力である。「東風-21D」と呼ばれるASBMはすでに初期実施段階を経て、すでに少数が実戦配備されている。
中国のASBM開発努力は少なくとも1995-96年の台湾海峡危機を境に強化されてきた。当時、中国は台湾近海にミサイルを発射し、最初の民主的台湾総統選挙を牽制しようとしたが、米国空母の台湾海峡への派遣に直面し、結局、なすすべなく後退した。この事件があってから、中国は米国の空母戦闘群が中国海域に接近するのを阻止することに重点を置いてきた。
中国は抑止力を高めるために、ASBMの能力については明らかにせず、半透明のままにしている。ただし、もし中国近海で不測の事態が発生すれば、中国が米国空母の行動を阻害するためにASBMを発射する可能性は排除できない。