2025年12月5日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年1月27日

 今の世界の危機は、必然というよりも、指導者の危機であり、基本的には米国のアクシデントによる危機の側面が強いのではないか。第一次世界大戦や第二次世界大戦の後の危機とは違うのではないか。

 今の危機を過小評価してはならないが、過大評価するのもどうか。かかる視座に立てば、対応も向こう4年の問題として対処するのが相当になる。

考えるべき第6のシナリオ

 第6のシナリオはないか。向こう4年への対応に当たっては、リベラル秩序の価値と理想を大事にして、マドル・スルー(あれやこれやの手を打ち、何とか切り抜ける)する。

 米国の同盟国は、トランプの悪影響を最小限にし、可能な範囲で米国のリーダーシップを助け、防衛など自分の責務や負担は増大していく。自由で開かれた貿易経済体制は必要に応じグローバル・ガバナンスを強化し維持していく。必要であれば、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のように米国抜きの合意も作る。

 戦後の国際協力体制やグローバリズムが崩壊すると世界はアナキーになってしまう。今、戦後の秩序が方向として間違っているとは思えないし、それ以上より良いシステムが見つかっている訳でもない。米国とて、トランプ旋風がこのまま続くようには思えない。

 2年後には中間選挙もある。共和党内にも、正統派の良い人々は多く居る。国民にもトランプ疲労が出てくる。世界のカネや人材は常に米国に向かっている。

 米国は、それをフルに利用して、有効な産業・経済政策を取って行くべきだろう。問題はこれからの4年である。

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