2025年2月14日(金)

世界の記述

2025年1月24日

 ドイツのオラフ・ショルツ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は1月22日、パリで開かれた独仏友好62周年記念式典で、「我々は米国のドナルド・トランプ新大統領と良好な関係を目指す。しかし我々は卑屈にはならず、隠れもしない」と述べ、米国政府と関税などの問題で交渉して合意を目指すが、欧州が重視する価値は失わないとする姿勢を打ち出した。

フランスのマクロン大統領(右)とドイツのショルツ首相は米国のトランプ大統領による外交へ交渉する決意を示した(代表撮影/ロイター/アフロ)

「欧州の価値を守る」

 ショルツ首相は、「欧州連合(EU)は約4億5000万人の人口を持つ。我々は米国との友好関係を維持するが、我々の利益も守る。我々は競争力を強めて、この地域の繁栄と安定、そして欧州が重視する民主主義の原則を守る」と語った。

 「米国と実務的に交渉するが、不当な妥協はしない」という硬軟織り交ぜた対米路線は、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長の言葉にもはっきり表われている。フォンデアライエン委員長は、1月21日にダボスで開かれた世界経済フォーラムでの演説の中で「米国の投資の3分の2は、欧州への投資だ。EUが輸入する液化天然ガス(LNG)の約半分は米国からの輸入だ。米国とEU間の貿易額は約1.5兆ユーロ(240兆円・1ユーロ=160円換算)に達している。これは世界全体の貿易額の3分の1にあたる」と述べ、米欧間の経済関係の重要性を強調した。

 その上でフォンデアライエン氏は、「我々は米国に対して実務的な態度を取る。早期にトランプ政権と協議して、共通の利益について話し合う。ただしその際に、欧州が重視する価値を放棄するつもりはない。我々の利益と価値は守る」と述べ、ビジネスライクな交渉を行うものの、不当な要求は拒否するという路線をはっきり示した。


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