グリンーンランドと宗主国デンマークの関係にはしっくりしていない面もあり、仮にグリーンランドが独立し、中国の経済的進出を許せば、広大な領土を持つミニ国家が中国マネーに飲み込まれる恐れもある。トランプとしては、独立したグリーンランドとの間で協定を結びプエルトリコのような自治連邦区とすることを考えているのかもしれない。
パナマ運河の返還要求は、運河通行料が高いこと、及び運河の両端の管理会社が香港に本社を持つ中国系企業であることがその背景にあるとみられる。パナマ運河に関しては、その管理権を99年に米国からパナマに移管すること及びそれまでの管理・運営について定めた「パナマ運河条約」と運河の中立に関する「中立条約」がある。
後者の条約では、中国の進出が運河の中立を損なっているか、通行料が妥当であるかは、条約解釈上議論の余地が無いわけではないだろう。しかし、運河の返還を求めて軍事力を行使することは正当化できない。
国際社会も巻き込んだ悪影響
トランプのカナダ併合についての発言は、むしろ逆効果を招いている。辞任を表明したトルドーも、野党党首ポワリエーブルも合併はあり得ないとし、トランプが25%の関税を課す場合には報復関税で対抗することを示唆している。
トランプは、関税を貿易以外の目的にも使える便利なツールと認識しているが、このようなやり方は、報復措置を招き国際関係は不安定化を増し、同盟国との関係を損ない、国内ではインフレや輸入業者からの訴訟を招く等のマイナス効果も大きいことが予想される。従って、結局は、「目的は達せられた」と一方的に宣言して関税賦課には至らず、あるいは、短期間で終了するなど交渉手段としての役割に留まる場合も多くなるのではないかと思われる。

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