2025年4月23日(水)

教養としての中東情勢

2025年2月7日

 国際社会の反発にルビオ国務長官らは釈明に躍起だ。長官は住民の域外移住案について、ガザを再建する間「一時的に離れる」という意味だと説明。「ガザ所有」に関しても、「米国が再建に責任を持つということだ」と苦しい言い訳を繰り返した。ホワイトハウスの報道官は大統領が米軍を派遣する約束はしていないこと、再建費用を米国が負担しないことを強調した。

一段と不透明になったガザ戦争の結末

 当の大統領は5日、この問題を記者団から問われたが「今は話すタイミングではない」と逃げを打った。あまりの反発の強さに鼻白む様子がありありだった。トランプ大統領が今後、「ガザの米国所有」をあくまでも推進するのか、軌道修正を図るのか、その場合、どう取り繕おうするのか、この問題はしばらく鎮静化することはないだろう。

 鮮明になったのはガザ戦争の結末が一段と不透明になったことだ。カタールで行われている停戦交渉にも悪影響が及ぶのは間違いない。イスラエルの攻撃で廃墟と化した故郷がリゾート地とされ、自分たちは住めないとされて喜ぶ住民はいないだろう。生煮えも生煮えのトランプ提案はパレスチナ紛争の本質を歪めようとしている。 

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