ヒズボラに対するポケベルによる無差別テロのように手段を選ばず、何をするか分からない相手と仲良くしようとする気は起きないであろう。上記論説の筆者は、「グローバス・サウスの中でのイスラエルと米国に対する信頼を粉々にした」と評しているが、グローバス・サウスに限らず国際社会全体がイスラエルに「危なさ」を感じていると思われる。
イスラエルは、米国の支持があれば構わないと考えているのかもしれないが、「永遠の同盟も永遠の敵もいない」という英国のパーマストン卿の言葉を思い出すべきである。そして、米国の失った信頼性も大きく、同盟国日本にとっても迷惑な話だ。
見通せない停戦交渉
1月19日にガザの停戦第1段階が始まったが、これはトランプ大統領の意向が強く働いて無理矢理停戦に持ち込んだ感が強く、現在の内容のままで長続きするとは思えない。第2段階の具体的な段取りはこれから協議されるが、第2段階で予定されている全ての人質の解放は、イスラエル側がハマスの殲滅の看板を下ろしていないでのハマスは身を守るために全ての人質を解放しないであろうし、イスラエル側は、05年に軍がガザから撤退したため内部の動向を掴みきれず23年10月のハマスの奇襲攻撃を予防出来なかったという反省から、部分的でのイスラエル軍の駐留を求めるだろう。
第3段階でガザの復興が予定されているが、誰がガザを管理するかも大きな問題だ。イスラエルはハマスの排除を求めるであろうし、パレスチナ自治政府には統治能力がない。
なお、1月26日にはイスラエルとレバノンの60日間の停戦期限を迎えたが、イスラエル側はレバノンから撤退していない。恐らくヒズボラからのロケット攻撃を防ぐためにその射程に見合う必要なレバノン領の占領は続けるのではないかと思われる。

