──これまでドワンゴもリクナビを使ってきたわけですよね。
だからこそ問題だと感じているのです。罪だとさえ、思う。問題提起は直接の利害関係者が言うべきと思っているんです。
1年前に岩波書店が新卒時の採用方針として「縁故採用」を打ち出した。今の就活に問題を提起する意味で、いい試みだなと感じました。だけど、ずいぶん批判された。なぜ世間から叩かれるのかわからないし、批判が許せなかった。それで、別の形で問題提起しようと思ったのです。
別にリクナビと喧嘩をしようという気はありません。メリットないし(笑)。顧客として文句をいう資格はあると思っただけです。
──役所や他の会社から何か、言われませんでしたか。
読売新聞から報道されたので言いますが、厚生労働省からは、呼び出しを受けました。「助言」という形で、自主的に次年度以降はやめてほしいと促された。それで「今回の採用試験の結果などをみたうえで、今後のことは考えたい」と現場では回答したと聞いています。
お金を取る会社が増えると、大きな社会問題になると懸念しているようです。だけど、100社にエントリーして、そのすべてに落ちる学生がたくさんいる。そのことこそが、問題の本質ではないでしょうか。そう主張すると、厚労省の方に、「ドワンゴさんの問題意識はわかりました」と言ってもらえたようです。
多くの会社の人事部から、「よく言ってくれた!」とエールをいただいた。でも、表立っては言えないみたいです。タブー意識があるようです。うちの会社はそんなものは関係ないですから。