一方、同日、ホワイトハウスではフランスのマクロン大統領とトランプがウクライナ協議について会談した。マクロンはトランプの和平努力を称賛し、交渉成立後は欧州が平和維持部隊をウクライナに派遣すると述べたが、同時に、和平は米国の信頼できる保証によって支えられねばならないとも述べた。
米国が欧州を見捨てれば、停戦はロシアに次の侵略のための再武装の機会を与えてしまう。それを考えれば、マクロンが保証を求めたのはもちろん正しい。
しかし、トランプは米国が保証を与えるかどうか明言しなかった。どちらの国がウクライナ戦争を始めたのか、トランプ氏が真実を言わないのであれば、楽観的にはなれない。
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ならず者国家と共同歩調
1月24日、国連総会でウクライナ戦争についての決議が採択された。
ウクライナがロシアによる侵略を非難する総会決議案を提示し、米国と欧州諸国は修正した文言での共同提案を模索していたが、21日に米側がロシアへの非難を控えた決議案を出すと欧州側に一方的に通告、欧州側は反発し、総会では米国と欧州主導の決議案がそれぞれ採決にかけられた。欧州の決議案が日本を含む93カ国の賛成で採択されたが、米国はロシア、北朝鮮、イスラエルなどとともにこの決議に反対した。
この米国の態度は極めて遺憾なものであり、ウォールストリート・ジャーナル紙が社説で慨嘆するのは当然であろう。米国はならず者国家と共同歩調を取ったと言わざるを得ない。
同日、安保理では米国が提案したロシアとウクライナによる「紛争」の早期終結を求め、ロシアの侵略を批判しない決議がロシアも賛成して採択された。
英仏は「ロシアによる全面侵攻」と表現を強める修正案を出したが、ロシアの拒否権で採択されず、米国提案には拒否権を持つ英仏は棄権した。
