2024年の農林水産物・食品(以下「食料品等」) 輸出額は、前年比3.7%増の1兆5073憶円となった。内訳をみると、緑茶がラテやスイーツ向けで25%増の364億円と好調で、コメが28%増の120億円で寿司やおにぎりの人気を受けて外食向け需要が拡大したことなどが背景にある。国別には、円安や日本食人気の高まりで、アメリカ、台湾、韓国向けが2ケタの伸びであった。
輸出額の増加は12年連続。25年は5000億円を上積む2兆円という目標を掲げており、江藤拓農林水産大臣は、「高いハードルかもしれないが、決して不可能ではない」と強調している。
農林水産物・食品の海外輸出は一見、順調に進んできているかのように思える。しかし、輸出額の増加が大きい品目を見ると、ソース混合調味料(+86億円、+16%)、菓子(米菓除く、+36億円、+12%)、醤油(+21億円、+21%)と加工品が多く、「原料が外国産ではないか」との指摘もある。
これはもっともな指摘である。輸出が増えているといっても、その中身が外国産であったら、農林水産業の活性化とは言えない。ただ、一方で加工品は海外から欲しがられているということは前向きにとらえるべきだ。
インバウンドの活性化や日本の食の国際化という波は確実に来ている。こうした追い風を生かすためには、「国産原料による製品の輸出」という本当の日本産農林水産物・食品輸出の推進、食文化を重視したプロモーションが求められる。それぞれの課題について、見ていきたい。