2025年4月9日(水)

都市vs地方 

2025年3月4日

 世界の食料需給が不安定な状況となっているため、2024年に成立した食料供給困難事態対策法は、国民の食生活上重要な食品(米穀、小麦、大豆を例示)について食料供給困難事態の発生が予測または発生したときは、生産・流通を通じた関係事業者に対し政府が各種の措置を講ずることができることを定めた。

 これに先立って改正された食料・農業・農村基本法は、「食料安全保障の確保」を規定し、農業の発展と農村振興のために農村への滞在機会を提供する事業活動(農泊)の促進など施策の充実を定めた。

メルボルン郊外、モーニントン半島の調節池に設置された農村ホテル。日本も農業が持つ価値を生かす必要がある(筆者撮影、以下同)

 高度経済成長時代は工業製品の輸出と引き換えに農産品の輸入拡大を図り、農業を衰退させてきた日本だが、近年は農業者の高齢化も目立ち、農地と農家の減少に歯止めがかからない状況になっている。さすがに路線を転換せざるを得なくなり新法制定・法改正に至った。

 これからは「稼ぐ農業」への転換すなわち農業を営むことによって安定的かつ一定水準以上の収入が得られなければならない。そのためには他国が実施しているような農業補助金の充実・所得保障制度の創設・相続税の軽減(そもそも相続税がない国も多い)など各種の政策転換が必要だが、ここでは「稼ぐ農業」のひとつの手段としてのアグリツーリズム(改正法がいう農泊の類)について述べたい。


新着記事

»もっと見る