白石農園の一角にあるレストラン「La毛利」はそこで採れた野菜や果実を食材として料理を提供する。客は畑を見ながらそこでフランス料理やイタリア料理を食べる。
駅から遠い店はいつも混んでいる。レストランが満席だと、自家製のパンや自動販売機の野菜を購入していく。ここでは体験農園とレストランそして加工品の販売などが相乗効果を生んで農家収入を増加させている。こうした方式はすでに全国各地へ普及しつつある。
行政が農家や個人の工夫に合わせること
筆者はオランダ、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、アメリカのシカゴなど欧米各国の農家を訪ね、泊めて頂いたことも多いが、農家の庭先でお茶を飲む至福のひとときを忘れることはできない。
肝心なのは、画一的なやり方でなく、それぞれの地域や農家の実態に合った多様なやり方を認めることだ。農業ツーリズム、農家民宿、グリーンツーリズムなど、呼び方は色々だが、やり方も色々であっていいと思う。
一般に行政が補助金を出すというと、ともすれば細かい条件を決めて画一化しようとする傾向があるが、この分野では農家の考え方や工夫、やり方に行政が合わせていく方がいい。
農業観光にとって、情報化時代の進展は大いなる味方となっている。インターネットによって個々の農家が自由に商品やサービスの内容を具体的に紹介し顧客を獲得、通信販売できる時代になった。今、多様性を認めた農業観光の振興策が求められている。
