2025年3月18日(火)

Wedge REPORT

2025年3月12日

「燃えやすい」現代の林相

 それでは、今回被災したのはどのような森林だったのか、Google Earthで概観してみたい。この写真2は2023年4月~24年5月にかけてのものである。中央の星型の集落が綾里地区で、ここを中心にこの半島の森林のほとんどが被災したのだが、以前の林相がよくわかる。

写真 2 山火事発生前の林相(Google Earth)

 濃い緑はスギの人工林で谷筋の湿潤な適地に分布している。薄緑色の尾根筋はコナラなどの落葉広葉樹林でアカマツも多く混交しているはずだ。

 写真3の赤茶色に剥げた部分とその周辺にある薄い黄緑色の部分は皆伐地である。人工林ではかなりの箇所が皆伐されているようで、海沿いではあるが意外にも林業生産活動が活発なようだ。

写真 3 綾里地区東部(Google Earth)

 皆伐跡地のほとんどがまだ再造林されていないか放置されているようだが、写真4を見ると草や低木がかなり繁茂しており造林放棄地のようである。もっとも、造林の有無に関係なく冬になると枯草の山になるから、火災が起きると野焼きのようになって延焼が早いし、飛び火がくるとすぐに発火する。今回の山火事の初期の急速な拡大の一因は枯草に覆われた皆伐跡地にあると思われる。

写真 4 皆伐跡地の植生(Google Earth)

 写真5はアカマツの混交した落葉広葉樹林の林床であるが、枯れた落葉が堆積している状況が分かる。さらに松くい虫で枯れたアカマツの倒木もあって、これらに火がつくとかなり強い地表火となるだろう。

写真 5 宮城県気仙沼市内の広葉樹林(筆者撮影)

 三陸海岸では最近松くい虫被害で枯れるアカマツが多くなっており、倒木や立ち枯れもあってよく乾燥しているので燃えやすい。


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