
ジェイムズ・ランデイル外交担当編集委員
サウジアラビアでの3日間の協議の後、ついに進展が見られた。
アメリカとロシア、アメリカとウクライナの、それぞれの合意について、二つの文書が作成された。
いくつかの違いはあったが、多くの点で共通していた。すべての当事者は「黒海での安全な航行を確保し、武力の使用を排除し、商船を軍事目的に使用することを防止する」ことに合意した。
また、「ロシアとウクライナのエネルギー施設に対する攻撃を禁止する合意を実施するための措置を講じる」ことにも合意した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、民間インフラへの攻撃を明確に禁止する条項がないことを残念に思うと述べたが、全体的には満足しているようだった。
ゼレンスキー大統領はキーウでの記者会見で、黒海とエネルギーに関する停戦をウクライナは直ちに実施すると語った。
アメリカが「捕虜の交換、民間人の解放、強制移送されたウクライナの子供たちの帰還を達成するための支援を継続することを約束する」としたのは、ゼレンスキー氏の意向に沿ったものだった。
しかしその後、クレムリン(ロシア大統領府)が発表した第三の文書が状況を混乱させた。
この文書には、アメリカとロシアの元の合意には含まれていなかった条件が入っていた。
黒海での停戦合意は、ロシアの銀行、保険会社、企業、港湾、船舶に対する制裁が解除され、農産物や肥料の輸出の増加が認められた場合のみ発効する――というものだった。
言い換えれば、ロシアはこの合意を、2023年に自ら無効にした黒海穀物イニシアチブの復活だけでなく、多くの経済制裁を撤回させる機会と見なしているのだ。
しかし、これを実行するには時間がかかる可能性があり、海上停戦が遅れるかもしれない。
また、ロシアの要求するすべての変更を、アメリカが完全に履行することはできないかもしれない。
たとえば、ロシアの銀行を国際決済システム「SWIFT」に再接続するには、欧州連合(EU)の承認が必要となる。
ロシアはまた、エネルギーインフラへの攻撃の30日間の停止について、3月18日にさかのぼって開始するほか、どちらかが違反した場合には合意を停止する可能性があるとした。
つまり、今回まとまったのは、ウクライナでの戦闘を減らすための弱々しい一歩であり、成功の保証はなく、相互不信の雰囲気の中での合意だということだ。
たとえ今回の合意が存続したとしても、アメリカが当初望んでいた、ウクライナ全土での包括的な停戦までは、まだ道のりは遠い。
停戦は個々のイベントではなく、過程だと言われることが多いが、それはこの合意にも当てはまる。
重要なのは停戦の発表ではなく、それがどのように実施されるかだ。つまり、現実になって初めて、その価値が分かるということだ。
両国はこの合意を実行し、それを守るだろうか?
停戦を長期的な平和に変える気はあるのだろうか? それとも戦場での優位性を維持しながら貿易をしたいだけなのだろうか?
これらの疑問に対する答えから、両国が本当に望んでいることがよく分かるだろう。
(英語記事 The long, slow road to a ceasefire, with no guarantee of success)