2025年4月16日(水)

BBC News

2025年4月4日

病院に到着したパレスチナ人の負傷者や泣く少女(3日、ガザ市)

パレスチナ・ガザ地区北部で3日、避難民がシェルターとして使っている学校をイスラエル軍が攻撃し、少なくとも27人のパレスチナ人が死亡した。イスラム組織ハマスが運営するガザ保健省が発表した。

攻撃を受けたのは、複数の家族が身を寄せていた、ガザ市北東部タッファ地区にあるダール・アル・アルカム学校。地元の病院によると、この攻撃で数十人が負傷した。

イスラエル軍は、ガザ市内の「ハマスの指令拠点にいた有力テロリストたち」を攻撃したと明らかにした。学校には言及しなかった。

ガザ保健省は先に、イスラエル軍の過去24時間の攻撃で、97人が殺害されたとしていた。イスラエルは、ガザの大部分を掌握するために、同地区での地上攻撃を拡大していると発表していた。

ハマスが運営する民間防衛隊のマフムード・バッサル報道官は、ダール・アル・アルカム学校への空爆で死亡した人の中には子供と女性が含まれると述べた。

また、妊娠中の女性が夫やきょうだい、3人の子供とともに行方不明になっているとした。

学校から近いアル・アハリ病院で撮影された動画には、重傷を負った子供たちが車やトラックで運ばれてくる様子が映っている。

イスラエル国防軍(IDF)は、今回の攻撃対象は、ハマス戦闘員がイスラエルの民間人や部隊への攻撃計画に使っていた場所だと、声明で主張した。

また、民間人への被害を抑えるために多くの措置を取ったと付け加えた。

民間防衛隊によると、ガザ市東部シェジャイヤ地区では夜間に複数の家屋が攻撃され、少なくとも12人が死亡したという。

民間防衛隊が公開した動画には、倒壊した建物のがれきの中から幼い子供2人の遺体を救助隊が収容しているとみられる様子が映っている。

目撃者の1人は、BBCアラビア語の番組「ガザ・ライフライン」に対し、就寝中に「突然、激しい爆発があって揺れを感じた。隣人のアヤド一家の家で起きたことだと知った」と話した。

IDFは即座にコメントしなかったが、3日朝にはシェジャイヤ地区と近隣4地域の住民に対し、ガザ市西部へ直ちに避難するよう命じた。「テロリストのインフラを破壊するため(中略)非常に強力に行動している」と、IDFは警告した。

IDFは今週、ガザ北部の複数地域と、南部の街ラファ全域、隣接するハンユニスの一部地域にも同様の避難命令を出している。国連によると、約10万人のパレスチナ人が避難を余儀なくされた。

イスラエルは、1月に発効したハマスとの停戦合意の第1段階が終了し、第2段階の交渉が行き詰まったことから、3月18日にガザへの空爆と地上攻撃を再開した

IDFの広報責任者エフィー・デフリン准将は3日、ここ数日間でIDFの作戦が「新しい段階に進んだ」と報道陣に述べた。

「我々はガザ南部で、ラファの包囲と分断を目標に、作戦を拡大している」とデフリン氏は述べた。「ガザ北部では、わが部隊がテロリストを標的とした作戦を展開し、同地域を掃討し、テロリストのインフラを解体している」。

さらに、IDFがこの2週間で、ガザ各地の600以上の「テロリストの標的」を攻撃し、「250人以上のテロリストを排除した」と付け加えた。

ガザ市タッファ地区への攻撃に先立ち、ガザ保健省はこの2週間で少なくとも1163人が殺害されたと発表していた。国連機関によると、死者には300人以上の子供が含まれる。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は2日夜、IDFがハンユニスとラファを隔てる新たな軍事区域「モラグ回廊」を設置していると述べた。

ハマスに軍事的圧力をかけることで、ガザに残る人質59人の解放につながるだろうと、ネタニヤフ氏は主張した。

イスラエルは先月末、新たな停戦案を提示した。これは、停戦交渉の仲介役の一つであるアメリカと調整したものとみられる。しかしハマスは、この案には応じないとしている。

ハマスは、同じく停戦交渉を仲介するカタールとエジプトが提示した、50日間の停戦案のみを受け入れる姿勢を示している。

50日間の停戦案の全容は明らかにされていないが、イスラエルで収監されているパレスチナ人を釈放する代わりに、イスラエルの人質5人の人質を解放することが含まれる。また、イスラエル軍が最近再配置されたガザの一部地域から撤退し、ガザへの人道支援の流入を認めるとしている。戦争終結に向けた交渉も行われるとされる。

イスラエル側は新たな停戦で、これよりも多くの人質が解放されることを望んでいる。

こうした中、イスラエル軍参謀本部の「事実調査メカニズム」は3日、先月23日にラファ近郊で自軍の攻撃によりパレスチナ人救急隊員15人が殺害され、遺体が埋葬されたとされる事案について調査していると明らかにした。国連は、「集団埋葬」が行われたとしている。

「すべての事実を正確に把握したい。必要であれば、責任を追及することもできる」と、IDFの報道官は述べた。

先月23日、救急車5台と消防車1台、国連車両1台は、緊急通報への対応中に銃撃された。この攻撃を生き延びたパレスチナ人救急隊員は、BBCの取材に応じ、イスラエル側の説明に反論した。

IDFは、攻撃した車両がヘッドライトや緊急信号を点灯せず、部隊に向かって「不審に前進」してきたとしている。また、殺害されたのはハマスの工作員と「ほかのテロリスト8人」だったとしたが、1人の名前しか公表しなかった。

これに対して、攻撃を生き延びたムンター・アベド氏は、銃撃を受ける前、車両の「ライトはすべて点灯していた」と反論。ハマスが救急車を隠れみのにしている可能性があるとするIDFの主張を一蹴し、救急隊員は全員民間人だったと述べた。

ハマスは2023年10月7日にイスラエル南部を攻撃し、約1200人を殺害、251人をガザに連れ去った。イスラエルはこれに大規模な軍事攻勢で反撃。ハマスが運営するガザの保健省によると、これまでに5万520人以上のパレスチナ人が殺されている。

(英語記事 Israeli strike on Gaza City school kills 27, health ministry says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/ce3ql01xze7o


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