2025年4月18日(金)

World Energy Watch

2025年4月14日

パートナー国へアピール

 中東産油国以外の販路として、フランスは地域戦略を共有する国々に積極的な武器輸出を図っている。14年~23年の期間、仏製武器発注額がとりわけ増加した国々は、インド(111億ユーロ)、ギリシャ(65億ユーロ)、インドネシア(46億ユーロ)、シンガポール(22億ユーロ)である。

 まず、ギリシャはフランスにとって地中海地域での防衛パートナー国である。両国は東地中海への進出を図るトルコをけん制することを目的に、21年9月に安全保障・防衛分野における戦略的パートナーシップ協定に署名した。軍事関係の強化に基づき、ギリシャは3~4隻の仏製防衛・介入フリゲート艦(FDI)の購入を発表したほか、24機のラファール戦闘機を発注した。

 次に、インドやインドネシア、シンガポールは、フランスのインド太平洋戦略で連携するパートナー国である。インド洋と太平洋に海外領土を保有するフランスは、居住者160万人の安全やフランス企業の経済活動を支えるため、インド太平洋への軍事的関与を強めている。こうした中、フランスはパートナー国として、インドやインドネシア、シンガポールなどとの安全保障協力を促進し、仏製武器の売却に成功してきた。

 フランスはインドと、16年にラファール戦闘機36機の購入契約を締結した。またロイター通信は今年4月9日、インドが海軍向けにフランスからラファール戦闘機26機の購入を承認したと報じた。

 インドは60年代よりソ連から武器供与を受けてきたことから、現在もロシアが武器の主要調達先である。一方、ウクライナ戦争を機にロシアとの武器取引への懸念から、武器輸入先の多角化を試みている。この点から、フランスはインドへの武器輸出を拡大させることで、インドが目指す軍事面での脱ロシア依存に貢献しようとしている。

 また、インドネシアも3段階に分けてラファール戦闘機を合計42機(22年9月:6機、23年8月:18機、24年1月:18機)を発注した。フランスが戦闘機の売却を通じてインドネシア空軍の近代化を図るだけでなく、操縦士訓練と航空機整備といった人材育成パッケージを提供し、ソフト面での協力も商談でのアピール材料とした。

米国離れが追い風に

 欧州は、ウクライナ戦争を機にロシアの脅威に直面し、トランプ政権誕生以降は米国との安全保障協力の縮小といった課題も抱えている。欧州は今年3月、軍拡路線を掲げる「ReArm Europe」計画に沿って、防衛費を増加させ、武器生産を増やすことを検討し始めた。

 マクロン大統領も防衛費を現在のGDP比2%から3~3.5%に引き上げ、軍事産業の活性化に向けて、ラファール戦闘機の発注数をさらに増やしていく方針を発表した。


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